文房具ソムリエが教える「自分に合った手帳」の選び方
1年単位の手帳はどう使えばいいのか?
手帳を30年以上売ってきましたが、ここでは実際に文房具売場での手帳は年間でどんな売り方をしているかをお話ししましょう。 まず、9月に次の年の手帳を売場で一気に並べるわけですが、じつはその前、4月に次の年の手帳のラインナップを各手帳メーカーが一気に発表します。ですからバイヤーは、次の年の手帳はどんなものが流行るのか、4月には予想してお店に並べる手帳を決めなければなりません。 9月から12月の4か月で日付入りの手帳を販売し、その実績をもとに翌年の4月に展示会で見定めなければなりません。日付入りの手帳ですから、12月までに売り切れるように手帳を仕入れるわけです。 ということは、みなさんは9月から11月はじめくらいまでに手帳を選んでいただかないと、お目当ての手帳に出会えないかもしれません。12月の終わりに、「そろそろ手帳を買おうか」と思う人、心当たりがありませんか? 私は「3か月1クール」での手帳をおすすめしていますが、何も王道の1年単位の手帳を否定しているわけではありません。また、使う目的によっては、1年単位のほうが見返したりするのに便利な場合もあるでしょう。 ですから「毎年この手帳が必ず必要だ」という方は、9月から10月には手に入れておいて、手帳の移行期をつくってください。 今年の手帳から来年の手帳に移行する時間をしっかり使って、その年にあったことを振り返り、次の年に思いを乗せていくわけです。つまり、厳密には1年間使うというより、9~10か月使って、うまく移行するということです。そういう意味では、メインで使う手帳を決めておいて、プロジェクトごとに手帳を使い分けて複数手帳を使っている人の移行はスムーズでしょう。スケジュールだけ移行する感覚になる方が多いからです。 さて、文房具売場の話に戻します。 12月までに売れなかった手帳は、1月以降も販売を続けることが多いです。返品をして、店頭から一気になくなることもあります。選択肢として、年が明けると一気に少なくなるということは想像に難くないでしょう。 ですから、どんなにのんびり考えている人でも、年をまたいでから買うということは避けてください。「残り物には福がある」と言いますが、実際にはそうなることのほうが珍しいと思います。 今は、SNSで手帳を実際に使っている人の投稿や、ネットで手帳ブランドの講座などで情報を仕入れられます。それらが自分に合った手帳かを考えながら、9月には次の手帳を買おうと決めておきましょう。 10月末までは大人気の手帳でもほぼ入手できます。この流れを見ていると、1年単位の手帳は買いたいときではなく、買うべき日を決めておくことが大事だということがよくわかります。 ただし繰り返しますが、実際にその手帳を1年間使うことはないでしょう。手帳を1年使うという感覚というよりも、自分の相棒を探す感覚でとらえてください。来年の自分の相棒を迎えるのは大事なので、アンテナを張っておきましょう。
石津ヒロシ(文房具ソムリエ)