共同親権導入問題、法務省が今国会に民法改正案提出へ
離婚後の親権のあり方などを検討している法制審議会(法務大臣の諮問機関)の家族法制部会は1月30日、婚姻中の父母と同様に離婚後も共同親権を持続することが可能となる民法改正の要綱案を取りまとめた。離婚後の親権については父母の協議で単独・共同のどちらかを選べるようになるほか、必ず払うべき「法定養育費」の創設や子と親の面会交流についても、現在は対象外である祖父母ら親族の申し立てを認めることとなった。同日の部会には委員21人が要綱案の採決に参加。3人が反対したが、5項目の付帯決議を付けたうえで多数決で承認された。 審議会後の記者会見では要綱案に反対した委員らが「DV(ドメスティック・バイオレンス)防止法との矛盾が解決されていない」「DV被害を受けた親が加害親から逃げて身を隠す道筋が示されていない」と不備を指摘した。 同日の審議会開催前には弁護士約400人が法務省に反対を申し入れた。司法書士会も反対声明を出すなど、反対する声は根強い。要綱案は今後2月の法制審総会を経て法相に答申された後、政府が改正案として国会に提出する予定。共同親権をめぐる白熱した議論が、舞台を国会に移した形で続くことが予想される。 要綱案では、未成年の子に対し親が権利と義務である「親権」を子の利益のために行使しなければならないことを明記。親権は父母が共同で行なうと定めたが、監護や教育に関する日常行為については単独で行使できたり、父母の協議が決裂した場合は家庭裁判所が父母の求めに応じて単独で行使できるよう定めることができる。 導入をめぐり物議を醸した離婚後の「共同親権」導入については、離婚後に父母のどちらか一方が単独で持っていた親権を、協議次第で父母の両方が持てるようになると定めた中身となっている。出生前の子や、父親が認知した子についても、父母の協議次第で共同親権とすることが可能になった。 他方、進学や病気などの重要事項に関しては父母が話し合って決めるが、窮迫な事情がある場合や、看護や教育に関する日常の行為への親権の行使は単独で行なえるとした。また、DVや虐待などのケースでいずれかの親の関与が「子の心身に害悪を及ぼすおそれ」がある場合は、家裁が父母の一方に親権を定めることとなった。