株価乱高下の「本当の要因」は? グローバル経済に影を落とした「アメリカ経済の今後」を専門家解説
日経平均の乱高下が止まらない。 様々な予想・分析が飛び交っているが、「本当の要因」は何か? 今後どのように動く可能性が高いのか? 経済ジャーナリストの後藤達也氏に聞いた。 【映像】アメリカ経済は今後どうなる? 後藤氏によると、2日(金曜日)から5日(月曜日)にかけての急落の要因は3つある。 「1つはアメリカの景気減速であり、場合によっては景気後退に陥るのでは、という懸念が急に高まったこと」 「2つ目は日銀の利上げだ。利上げ自体はある程度織り込まれていたが、利上げ後も植田総裁は記者会見にて『今後の利上げについてもかなり前向き』と受け取れるような発言をしたため、アメリカの要因と重なって、株安になった」 「3つ目はパニック的な投げ売りだ。特に、100万円を元手に200万円借りてきて、300万円分株を買うというような“レバレッジ取引”をしていた人は急激な下落で一気に元手がなくなり、取引解消に追い込まれた。そんな人が連鎖的に出てきたのだ。これは株価の実力ではなく、投げ売りの連鎖が極まった結果、5日の4451円安につながった」 レバレッジ取引をしていなくとも、例えば新NISAを始めたばかりの“投資初心者”はパニックに陥りやすいもの。対策はあるのか? 後藤氏は様々な視点を取り入れることが有効だと話す。 「例えば過去にリーマンショックを見ていれば『前にもあった』などと少し落ち着いて見れる。最近では、SNSなどで不確かで煽るような情報もあり、パニック心理が加速するという構図もあるが、特定のインフルエンサーを盲信するのではなく様々なニュースソースから情報を得る、複数の視点から物事を見ることなどが予防になるだろう」 さらに後藤氏は今後の日銀の動向について「内田副総裁が7日に『マーケットが混乱しているような状況では利上げをしない』と明言したことで年内の利上げの可能性はだいぶ低くなった。もちろん、数カ月後にマーケットも落ち着いて、物価・賃金も上がった場合、10月や12月に再度利上げする可能性は残っているが、先週の植田総裁の会見直後と比べると、年内追加利上げの可能性はだいぶ萎んだ」と分析した。 一方でアメリカのニューヨーク市場でも乱高下が起きているが、収束するのだろうか? 後藤氏は「アメリカ景気が本当に景気後退と呼ばれるレベルまで落ち込んでいくか次第だが、まだわからない。アメリカがかなり大きな景気後退に陥ると、グローバル経済も悪化し、そこそこ強かった日本経済にも下押し圧力がかかるかもしれない。そもそもアメリカの景気は1カ月ぐらい前までは『やはり強い』という見方が多かった。だが、直近2週間ほどで、悪い経済指標が相次ぎ、失業率も上がるなど不安が強まっている。今後1カ月、2カ月ほど、雇用統計などの経済指標を見て探ることで景気後退リスクがどの程度高いのか正確に見えてくる」と説明した。 (『ABEMAヒルズ』より)
ABEMA TIMES編集部