アニモカ会長に聞く:ビットコインと株、Web3に集まる人の特徴、日本人の金融リテラシーと投資マインド
若い世代が集まるWeb3 vs 伝統的金融市場
──米国や日本の株式市場が沸いている。同時に、ビットコインETFの米国上場によって、伝統的金融市場から巨額のマネーがビットコイン市場に流入し、相場を支えるかたちとなっている。改めて、ビットコインや他の暗号資産と、伝統的資産クラスとの相関関係をどう考えているか? シウ氏:世界経済における株式相場と暗号資産との相関はある程度、存在するかもしれない。しかし、それぞれを支えているオーディエンスが異なる。暗号資産を積極的に保有する若い世代の多くは、IBMやNTTドコモの株式を購入しようとは思わないだろう。 ビットコインは様相が異なってきているのは確かだ。伝統的金融市場をけん引する機関投資家の資金が、ビットコイン市場に影響を与えるようになった。一方で、ビットコイン以外の暗号資産であるアルトコインのエコシステムには現時点で、大きな機関投資家の存在はない。アルトコインのほとんどは、それぞれのコミュニティが支える構造だ。 なぜ若い世代がWeb3に集まってくるのだろうか?それは、彼らが求めているものが、フェアな成長機会へのアクセスであり、成功に対してフェアに挑戦できる場であるからだ。そのコミュニティがさらに大きくなっていくと考えているから、より多くの若い世代がWeb3の世界に入ってくる。 例えば、米国を見てみると、暗号資産を保有する個人の中で、大きなシェアを取っているのはアジア系アメリカ人で、その多くは中国系アメリカ人と韓国系アメリカ人。加えて、中南米系アメリカ人やアフリカ系アメリカ人と続く。暗号資産を受け入れている多くは、マイノリティということになる。
世界の金融ハブ都市とWeb3のハブ
シウ氏:同様のことはアジア全体でも起きている。暗号資産の導入率が高いアジアの国を見ると、フィリピン、インドネシア、ベトナムとなる。通常の、伝統的な資本市場としては、これらの国々はアジアをけん引するグロース市場ではなかったが、暗号資産のアジア市場においては成長をリードする国々だ。 金融リテラシーとの相関は、私が重視する点だ。例えば、日本は世界のGDPランキングで依然としてトップ5にある経済大国だが、金融リテラシーは他国と比べると低いと言われている。多くが資産のほとんどを現金・預金で保有し、投資ということを積極的に行ってこなかった。これは、暗号資産保有者と非保有者を問わない一般論だ。 Web3の観点で言えば、金融リテラシーが低ければ、Web3コミュニティがどう機能するかを理解をすることが難しくなる。投資のマインドセットがなければ、真のWeb3ユーザーになることは難しいと思う。優れた投資家になる必要があると言っているわけではなく、リスクなどの投資についての理解が必要だということだ。 Web3の成長が著しい地域としてあげられるのは、香港、シンガポール、ドバイ、マイアミ、ニューヨークなどだが、これらの地域に共通しているのは、金融センター(金融ハブ)であるということだ。 また、現在までに築き上げられてきた決済レールや金融レールは、設計の段階で、それにアクセスするためのリミットが設けられている。多くの一般個人がアクセスできる範囲は狭く、既存の金融レールに私がアクセスするためにはクレジットカードや、他の仲介者を介する必要がある。 Web3の基本的哲学は、開かれたレール(パブリックブロックチェーン)上で誰に対しても広いアクセスを与えるということ。世界中の多くの個人にとって、どちらがより将来の成長性を感じられるだろうか。