衆院憲法審、枝野会長下で初討議 議員任期延長巡り各党に溝
衆院憲法審査会は19日、今国会初の自由討議を実施し、各党が今後の議論の進め方を巡って意見を交わした。10月の衆院選で自民党や日本維新の会などの改憲勢力が発議に必要な3分の2を割り込み、憲法審会長には立憲民主党の枝野幸男元代表が就任。枝野氏の下で、緊急事態での国会議員の任期延長を巡る議論がどう取り扱われるかが焦点となりそうだ。 先の通常国会では、自民、公明、維新、国民民主など4党1会派が緊急事態での議員任期を延長する条項について条文化を提案。6月13日の審査会では4党1会派の合意の下、自民の中谷元・与党筆頭幹事(当時)が緊急事態の範囲や任期延長の手続きなどをまとめた論点整理を提示したがその後、進展はなかった。 この日の審査会では、引き続き議員任期延長を優先して議論すべきかで各党の意見が割れた。自民の船田元・与党筆頭幹事は論点整理に触れ「これを発射台として、優先的に議論を進めていくべきだ」と主張。維新の馬場伸幸前代表も「総選挙を経ても、これまでの議論の積み上げを無にしてはならないことは言うまでもない。議員の任期延長などを規定する緊急事態条項の創設の論点は出尽くしている」と訴えた。 一方、立憲の山花郁夫氏は、避難所などでも投票を可能とする方法や、インターネット投票などの仕組みを検討することを優先すべきだと主張。現行憲法には、緊急時に国会の機能を代行できる参院の「緊急集会」の規定があることから「緊急集会で国会機能が維持できないという結論が参院で出されるのであれば、その後に衆院憲法審で議論するのが2院制のあり方、エチケットだ」と述べた。共産党の赤嶺政賢氏は「今、国民の多数が改憲を求めていない中で、憲法審査会は動かすべきではない」と強調した。 審査会では、船田氏を会長代理に指名。枝野氏は終了後、記者団に、今後の進め方について「今日の議論を踏まえて、船田氏や幹事会などと年明けに速やかに整理していきたい」と述べた。議員任期延長については「一般論で申し上げても、従来の積み重ねを100%無視をすることはありえないし、委員ががらっと替わっているわけだから100%継続するということもおかしなことだ。それだけに拘束されることはない」と指摘した。 一方、自民は同日、党憲法改正実現本部を国会内で開催。古屋圭司本部長は「間違っても憲法審で議論が拡散することがあってはいけない。しっかり議論を集約していくための戦略をどうするか、知恵を絞っていきたい」とけん制した。【池田直、小田中大】