「母ではなく個人として接したい」3児の母の杏が子どもたちに伝えたい“ちょっと難しい話”
ジグソーパズルの世界大会に出場
――今後はそういう形でうまくスケジュールを組みながら、子育てとお仕事を両立していくのでしょうか。 子どもたちは日々成長して変わってはいくので、その様子を見ながら、子どもとの時間と仕事の時間のバランスをとっていく感じかなぁ。いただくお話を一つひとつ考えて、これは今だったらできるかなとか、この作品は今はまだ難しいかも、と判断しながらやっていければと思います。 ――日本とフランスという二拠点生活も長くなってきたと思いますが、これからチャレンジしたいことはありますか? 好奇心は私の中で大きな原動力なので、知らないことを知りたい、知らない場所に行ってみたい、という気持ちは大事にしたいです。 特に子どもたちなんて一緒に行動してくれるのはせいぜいあと10年そこらなんだろうなと思うので(笑)、今のうちにいっぱいいろんなところに一緒に行きたいですね。 ――「千紗子の不可能を可能にしていく力は、是か非かはともあれすごい」とおっしゃいましたけど、杏さんもジグソーパズルの世界大会に出場するなど、かなりアクティブですよね。 もちろんすべて自分一人で行動しているわけではないんですけど、周りに話をしたら意外なところとつながった、みたいなことがけっこうあるんですよね。ジグソーパズルも、雑談で『ジグソーパズルって世界大会とかないのかな』みたいな話をしていたら、『あれ、隣のスペインでやってるじゃん! 行ってみる? 』みたいな感じで(笑)。 だから、興味のあることとか楽しみなことは、なるべく人に話したりするようにしているんです。ダメもとで、その時はあまり成果がなくても、数年たってから『これ好きだって言ってたよね』って情報が回ってきたりするので、雑談って大事だなと思います。
最近の読書量は?
――杏さんといえば無類の本好きとして知られていますが、最近でもかなりの読書量ですか? あー、それはすごく減りました~! やっぱり心に隙間がないと入れられなくて。 ――子育てとお仕事が重なると、時間的にも気持ち的にも余裕がなくなりますよね。 そうですね、最近どうしても隙間が大きくとれないような感じはありますね。選ぶ本も軽いストーリーのものが多くなりました。重めのもの、ちょっと昔の難しい文体もなかなか読めなくなって、古い版の文庫本とか、カバーがかかったままになっていることも(笑)。 ――『かくしごと』では、子どもへの虐待や親の認知症など、さまざまな社会問題について考えさせられました。杏さんご自身は、こういった問題について意識されている部分はありますか? 大人になって年月を重ねるにつれ、子どもが巻き込まれる虐待や傷害事件の報道などを見て、怒りや悲しみを覚えることがどんどん増えてきています。ただ、個別の事件の裏には、社会制度や構造の問題があるとも感じます。それでも、自分も含め、子育て中の世代って、忙しさもあってなかなか声を上げる気力も余裕もないという面があるんです。 ――確かに、目の前の子育てでせいいっぱいで、それどころじゃないというところはありますよね。 そうこうしているうちにどんどん子どもが大きくなって辛い時期を卒業し、その場の問題からも脱却していく。そしてまた次の新しい世代が大変なフェーズに直面していくというように、ベルトコンベアのように時間と共に状況が変わっていくので、親が抱える問題ってなかなか見えづらいというか、可視化しづらいんじゃないかと思うこともあります。 だからこそ、今感じていることは忘れないでいたいし、チャンスがあったり必要だと思ったりしたら臆さず声を上げたい。何より、考え続けるということ自体がすごく難しくて、だからこそやらなければならないし、そのためにも情報をキャッチしていくことが大事だとも思います。 ──千紗子は目の前の少年を救うために「あなたは私の子どもなの」と大きな嘘をつき、かくまいます。 自分だったらどうするかっていう確たる答えはもはや出ないんですけど、千紗子は普通ならなかなかできないことを行動に移して、束の間かもしれないけれども、本当の幸せを体現するために、社会からは隔絶された自分の空間を作り上げる。もし私が同じ状況になっても同じようにできるか分からないなと感じました。 誰でも、いろんな事件が実際に起こった後の情報を聞いて、私がもしそこにいたら何かしてあげたかったなって思った経験がありますよね。じゃあ本当に目の前でそれが起こって、自分が何かできるってなったら、あなたはどうしますか、と。そういうことをすごく考えさせられる作品だと思います。 杏(あん) 1986年生まれ。2001年にモデルとしてデビューし、2005年からはニューヨークやパリ、東京などの主要ファッションショーで活躍。2007年に女優デビュー。NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」やドラマ「花咲舞が黙ってない」シリーズなどで主演を務めるほか、『キングダム 運命の炎』『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』など数々の映画やドラマに出演している。 衣装 シャツ 269,500円、スカート 294,800円 Bottega Veneta/Bottega Veneta Japan ピアス K18RG,MALACHITE,WHITE DIAMONDS 473,000円 ブレスレット K18RG,1 MALACHITE,1 WHITE MOTHER OF PEARL,WHITE DIAMONDS 341,000円 POMELLATO/ポメラート クライアントサービス
張替裕子(Giraffe)