松竹新喜劇が新春お年玉公演、初詣と併せて初笑いを 1月8日まで
「正月から松竹新喜劇で初笑いを」と京都市東山区の南座で1月2~8日、恒例の「新春お年玉公演」が行われている。AプロとBプロの2部制興行。「初詣などと併せて短時間で気軽に見ていただければ」と劇団員の藤山扇治郎。シェークスピアの新喜劇版「春の夢 嗚呼!恋は勘違い」(Aプロ)と、60年ぶりの上演となる「淡路島 温泉町値上がり中」(Bプロ)という珍しい作品が並ぶ。 松竹新喜劇は昨年、長く座長を務めた渋谷天外からバトンを受け継いだ扇治郎、渋谷天笑ら若手5人がメインの新体制となった。 天笑が「演目の選定など自分たちの意見が反映されています。その分、責任も感じますが、5人のキャラクターと芸風が違うので、それが面白さにつながれば」と言えば、扇治郎も「僕ら世代が中心とはいえ、喜劇はチームワークが大切。皆で頑張っていきたい」と意気込む。 「春の夢 嗚呼!恋は勘違い」は、シェークスピアの名作「夏の夜の夢」を新喜劇らしく大胆にアレンジした作品。大正時代の大阪の呉服問屋を舞台に、恋の勘違いから起きるドタバタの騒動を描く。平成8年に南座で初演されて以来の上演で、客演の元宝塚歌劇団の娘役、有沙瞳が美声を披露する場面もある。 昭和40年以来の上演となる「淡路島 温泉町値上がり中」の舞台は淡路島の温泉町。主人にかい性がないため経営危機に陥った老舗旅館の立て直しを巡り、欲と真心が交錯する人情喜劇。旅館の行く末を見守る女中のおげんは客演の久本雅美が演じる。 今年の1月公演に続いての2部制。比較的安価な入場料で、AプロかBプロのどちらかの芝居を見るという趣向だ。天笑は「当日飛び込みで見てくださるお客さまが多いと聞いています。こういう興行形態も、今の時代に合っているのかもしれませんね」と話す。 扇治郎も「うちの芝居は人生の悲哀や人間の表と裏が、笑いと涙の間に描かれている。でも、最後には『人間って悪い人はおれへんのやな』と思わせてくれる。そういうところ、つくづく良い意味で大人の芝居やなと感じています」。 Aプロ、Bプロともに出演者による「新春ご挨拶」あり。(亀岡典子)