両陛下が大雨被災の輪島市を日帰り訪問…家屋跡に10秒黙礼、避難所では20人と懇談
天皇、皇后両陛下は17日、9月の記録的大雨で被災した石川県輪島市を日帰りで訪問された。両陛下が能登地方を見舞われるのは、元日の地震後の3月、4月に続いて今年3回目。
両陛下は午前11時過ぎに特別機で輪島市の能登空港に到着し、マイクロバスで市中心部に移動された。
市内では大雨で11人が死亡し、1260棟余りの住宅が被害を受けた。両陛下は中学3年の喜三(きそ)翼音(はのん)さんら4人が亡くなった同市久手川(ふてがわ)町に向かい、数軒の家屋が流された塚田川沿いの一画を視察された。
喜三さんの自宅跡付近には、基礎部分だけの住宅や潰れた車両があり、両陛下は坂口茂市長から被災状況の説明を受けると、家屋の跡に向かって約10秒間黙礼された。さらに、現場を離れる際に再び一礼された。
その後、両陛下は51人が身を寄せる市立輪島中学校の避難所へ。腰をかがめて被災者と目を合わせ、約30分間の滞在で約20人と懇談された。両陛下から当時の状況や現在の暮らしぶりについて尋ねられ、目に涙をためる人の姿もあった。
元日の地震で自宅が全壊し、避難所を経て入居した仮設住宅が大雨で浸水したという無職女性(70)は、両陛下から「おつらかったですね」「寒くなりますから、お体を大切に」と声をかけられたという。「温かみのある声とまなざしで、元気をいただいた」と振り返った。
その後、両陛下は市役所で、人命救助や安否不明者の捜索などに当たった警察官と自衛官、消防士の計3人をねぎらわれた。
両陛下が輪島市を見舞われるのは、3月に続いて今年2回目で、坂口市長は「二つの災害で大きな被害を受けた市民らにすごく気遣いをいただき、大きな励みとなった。しっかり復興していきたい」と語った。
両陛下は最後に、9月の大雨で同様に被災した珠洲市と能登町の2市町長と能登空港で面会された。特別機で夜に帰京された。