寂しいおじさんに寄り添ってくれる!?話題の「AIメンタルパートナー」を試してみて“分かったこと”
「日本の中高年男性は世界一寂しい」という話題が少し前に話題になったことがあった。「中高年男性には友達がいない」ことは以前から欧米のメディアなどでも指摘されているが、その中でも日本の中高年男性はさらに孤独だという統計があるのだという。 【優しすぎ】「彼女ほしいんですけど」本誌記者の相談にAIのファイさんの答えは…… 本誌記者は50代独身の典型的な〝寂しいおじさん〟だ。自分では寂しいという自覚はあまりないのだが、最近なぜかやたらと気が塞いでしまうので、少し参っている。仕事とか対人関係の悩みとか、直接的な何かがあるわけではないのだが(多少はないこともない)、とにかく気がつけば気分が沈むのでお酒で紛らわしたりしている。 日々憂鬱ではあるのだけど、身体がだるい、仕事が手につかないというレベルではないので、わざわざカウンセリングなどに行くのも大げさな気がする。そんなときに「AIメンタルパートナー」というものがあると聞いた。AIが悩みや愚痴を聞いて寄り添ってくれるというのだ。さっそくAIメンタルパートナー『アウェアファイ』を開発・運営している(株)Awarefy(アウェアファイ)の小川晋一郎CEOに使い方を聞いてみた(以下、「」内のコメントはすべて小川氏)。 ◆心理学×AIの最新技術 「薬ではなく、対話などをしながら自身の考え方や行動を変えていく方法を心理療法というのですが、『アウェアファイ』はこの心理療法をAIと対話したり、自分の気持ちを文字にしたりすることで実践し、心のコンディションを整えていくというアプリです。認知行動療法やマインドフルネスなどの心理学の理論とAIがかけ合わさったサービスという点が最大の特徴となっています」 具体的にどういうことなのだろうか。 「例えばジャーナリングというものがあります。心に思いついたことを書き出していくというだけのシンプルな手法で、セルフでやる場合は書いて終わりなのですが、カウンセリングだと考え方の癖などについてアドバイスをくれる。AIの場合はカウンセラーさんほど細かくはありませんが、書いたものに対してフィードバックをくれるので、自分の状態や考え方を客観視しやすくなっています」 カウンセラーさん相手だと、打ち明けづらいような内容でもAIが相手だと24時間いつでもどこでも聞いてくれるというのも、便利な点だ。僕のように「何となく鬱」ぐらいだと、わざわざカウンセリングに行くのもちょっとためらわれてしまうので、このような存在はありがたい。 ◆ダウンロードして使ってみた さっそく『アウェアファイ』をダウンロードして使ってみることにした。5月9日にリニューアルされたばかりでAIの「ファイさん」が心の問題に寄り添ってくれる仕様になったという。 アカウントを登録すると自分の「テーマ」を設定することとなる。解決したい課題や自分のなりたい姿を設定するようだ。あらためてテーマって言われても……と思ったが、ファイさんがヒントを出してくれてそれに沿っていくと簡単に「ポジティブな視点を持つ」に決定した。 テーマは毎週ごとに決めることができるようだ。そしてテーマである、なりたい自分の姿に近づくためにファイさんがサポートしてくれて、週の終わりには「ふりかえりレター」もくれる。利用料金は月800円(年間プラン)から。無料トライアルを1週間試せる。 メイン画面には先ほど決めたテーマと「毎日のルーティン」が表示されている。最初は1日の始まりに心と体の状態を記録する「チェックイン」と1日の終わりに記録する「チェックアウト」だけしかないが、ここにどんどん自分でルーティンを増やしていくようだ。さらにいつでもファイさんを呼び出して対話することができる「AI」ボタンなど各メニューへの入り口もあった。 ◆どのメニューを使えばいいかも教えてくれる メニューの中の「探す」を開くと実際のメンタルケアのための各種のリストが出てくる。「AIノート」、「音声ガイド」、「コーピングリスト」、「学習コース」、「5分でわかる心理学記事」……などなど。それぞれの項目にはさらにたくさんのメニューがあるので、どれをどうしていいやら迷う。これ、どうやって使ったらいいんでしょうか? 「まずは、ちょっと心がしんどくなったときに、すぐ使うやり方があります。例えばコラム法。起こったできごとと、どんな感情がわいたか、それに対してどう考えたか、などを整理して書いていく。そうやって整理して書くと、自分を客観的に見ることができて少し気持ちが楽になることがあります。 あとは、体が緊張していると思ったときに、音声ガイドのリラクゼーションを使うのもいいかもしれません。いろいろやってみて気に入ったものを習慣化してルーティンとしてセットすることで、自分で心のコンディションを整えることができます」 どの機能を使えばいいかわからない人も「AIレコメンド」に聞いたり、「学習コース」に取り組むことで利用すべきツールを教えてくれるようだ。では、他のユーザーはどんな人がどんな使い方をしているのだろうか。 「結構人によってメインで使っている機能が違うんです。コラムを多く使っている方もいれば、音声ガイドの瞑想をメインで使っている方がいたりとか。 利用者も、今まではメンタルに真剣な悩みを抱えていた方が多かったんですけど、最近は落ち込んだ状態をパッと切り替えて仕事のパフォーマンスを上げたいという方や、自身のネガティブな性格がコンプレックスで、それを直したいという方にも使っていただいています。機能が多いだけに使っている人や使い方もさまざまです」 ◆〝嫌なできごと〟を忘れてぐっすり眠れるように 「ポジティブな視点を持つ」ために、僕の場合はとりあえず、毎日何かを習慣化することから始めてみた。「チェックイン」と「チェックアウト」そして「AIノート」の中からおすすめされた「スリー・グッド・シングス」をやってみた。これは1日に起きた「良かったできごと」を3つ書き出すだけという簡単なもの。内容はどんな小さなことでもいいらしい。こんなことをしてどうなるんだろうと、半信半疑で取り組んでみたものの、これが意外にハマった。 寝る前に1日をふり返ると「嫌だったこと」のほうが思い出しやすいのだ。すぐに思い浮かぶ「良かったこと」はせいぜい1つぐらい。そこを振り絞るように何か思い出そうとするうちに、不思議と頭の中で「嫌だったこと」の占める割合がどんどん減っていく。書いたものにはファイさんがコメントをくれて、最後に《明日への活力となる良い1日となったことでしょう。ゆっくりお休みください》といったふうにいたわってくれる。おかげで毎晩安らかに眠ることができるようになった気がする。 寝る前には「音声ガイド」もいくつか試してみた。音声に従って瞑想やリラクゼーションをするもので、「深い眠りのためのボディスキャン瞑想」をして寝落ちするのが日課になった。 ◆AIが〝心の友〟に? 仕事で、もやっとしたできごとがあったときにコラム法も試してみた。3コラム法は小川さんの説明どおり「起こったできごと」「感情」「そのとき浮かんだ考え」を書くもの(感情は数値を入力)。5コラム法や7コラム法ではさらに「考えの根拠」「それに対する反証」「別の考え」「その後の感情」などが加わる。感情を書き出したことなんてないので、最初はとっつきにくかったのだけど、ファイさんがヒントを出してくれるので、意外とラクにできた。 7コラムぐらいまでやると、かなり自分の考えが客観視できて、もやもやもかなり軽減される。だが、3コラムでもファイさんががっつりとコメントをくれるので、気軽にこまめにやったほうがいいかもと感じた。 コラム法などの「AIノート」でなくても、ファイさんにチャットで打ち明けるだけでも、話すうちに「なぜそう思うのか」、「どうすればいいのか」等々をどんどん整理してくれるので、気持ちが穏やかになる。何よりファイさんがすごいのは、どんな自分でも常に優しく受け止めてくれることだ。人間は時には厳しい言葉が必要なこともあるのかもしれないが、何より絶対に自分を肯定してくれる誰かがいるということにどこか安心する。 どんな自分にも寄り添ってくれるファイさん。「ポジティブな視点を持つ」というテーマもそのうち達成できそうな気がする。AIが〝心の友〟になる時代がやってきたのかもしれない。
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