ついに動いた!任天堂vs.パルワールド訴訟の焦点 ポケモンに酷似?気になるソニーの出方
ポケモンからの警告とも受け取れるような声明も意に介さず、ポケットペアはパルワールドの人気を追い風に、ビジネス拡大へと突き進んでいく。 7月には、ソニー・ミュージックエンタテインメントと傘下のアニメ会社アニプレックスとともに、パルワールドのライセンス事業を行うジョイントベンチャーを設立。すでにアニプレックスのECサイトなどで、パルワールドの公式グッズの販売を行っている。「ポケットペアがパートナーを探していて話がきた。アニプレックスとしても低年齢層向けのIPを欲していた」(アニプレックス関係者)。
ゲーム業界関係者の間では、パルワールドのリリースから8カ月を経た今になって任天堂が訴訟を起こした背景として、業界で大きな存在感を持つソニーとの協業が刺激となったのではといった臆測も飛び交う。なお、任天堂とポケモンはこのタイミングでの提訴となった理由について、「十分な調査を行っていたため」とだけコメントした。 ■著作権を争点としなかった理由 デザインの類似性が指摘されてきたパルワールドだが、今回の訴訟では、著作権ではなく特許権の侵害が争点となる。
任天堂側の意図について、知的財産権に詳しい福井健策弁護士は「一般的に著作権侵害が成立するハードルは高く、『雰囲気が似ている』『参考にしている』といった程度では認められない。パルワールドでは著作権侵害が成立しそうなキャラクターもあるが、裁判で認められるかは疑問も残る。特許権侵害の点なら、より勝算が高いと考えたのではないか」と推察する。 実際、任天堂のレースゲーム「マリオカート」を模した公道カート事業を運営するMARIモビリティ開発(旧マリカー)に対して任天堂が2017年に起こした訴訟では、不正競争防止法違反に該当するとして任天堂側が勝訴したものの、著作権侵害は認められなかった。
一方で、任天堂はかねて特許権訴訟に積極的ではないとされてきた。大手ゲーム会社の関係者は「ゲーム業界では関連特許が膨大な数に上り、完全に侵害を避けることは難しい。任天堂は自社のハードにソフトを提供するゲーム会社側が開発上の制約を受けないように、特許権の侵害についてあまり目くじらを立ててこなかった」と話す。 これまでに任天堂が提起した特許権侵害訴訟では、2017年12月にコロプラに対してスマホゲーム「白猫プロジェクト」の配信差し止めや損害賠償を求めた訴訟があるが、提訴に至る前に、水面下での交渉が1年以上も続けられた。