【2024年レース回顧】ソウルラッシュが7度目の挑戦で待望のG1初制覇 新人記者予想デビュー戦で本命的中
◆マイルCS・G1(11月17日、京都・芝1600メートル=良) 今年の4月に入社し、6月から中央競馬担当に。マイルCSで1週間を通してレースを深掘りする「考察」を任された。初めて印を打つ、予想デビュー戦。過去10年のレース映像をさかのぼってチェックしていくと、外差し決着の傾向が強いことが分かった。配属されて本格的に競馬を見始めて、直線で外から鋭く末脚を伸ばして差し切るスタイルに魅力を感じていた。レース傾向も加味して、記念すべき初の本命は決め手に爆発力がある馬にしようと決めた。 【データで見る】ソウルラッシュの血統、戦績 今年は一昨年、前年の勝ち馬2頭に、出走17頭中13頭が重賞ウィナーという好メンバーがそろった。そのなかで最も気になったのはソウルラッシュ(牡6歳、栗東・池江泰寿厩舎、父ルーラーシップ)だった。同舞台の読売マイラーズCで見せた鮮やかな外差しが非常に印象的だったが、G1は6戦未勝利、マイルCSは3度目の挑戦で、前年は首差の2着に惜敗していたことも心を揺さぶられた。G1を勝てる実力は十分にありながらも、あと一歩ビッグタイトルに届いていないところが応援したくなった。 レースは中団から。じっくり運んで脚をため、団野大成騎手が直線半ばで外に持ち出して懸命にアクション。それにしっかりと呼応してギアを上げた。魂がこもった鼓舞を背中に受けて、もうその勢いは止まらない。残り150メートルで完全に抜け出し、2着に2馬身半差をつけて待望のG1初勝利を飾った。 鞍上は「気づいたら出ちゃってました。早すぎました。めちゃくちゃ怒られました(笑)」とゴール前の早すぎたガッツポーズを猛省していたが、私もテレビの前で思わず拳を握りしめていた。1週間頭を悩ませ、導き出した結論に最高の形で応えてくれたソウルラッシュと団野騎手。これからも応援し続けたいと心から思った。 しかし、直線を豪快に突き抜ける姿に目を奪われるあまり、2着以降が完全に視界の外に。慌てて確認すると2着エルトンバローズ、3着ウインマーベルの2頭とも無印。“相手抜け”で競馬予想の洗礼を浴び、単勝530円のみ的中という微妙な結果に終わったが、個人的には大満足だった。 G1馬となったルーラーシップ産駒は続く香港マイルでも2着に好走。池江調教師は「やっぱり安田記念を勝たせてあげたい」と春のマイル王の座を狙う。7歳になるシーズンだが、まだまだ衰え知らず。来年もその豪脚に大いに期待したい。(中央競馬担当・山本 理貴)
報知新聞社