「尹錫悦逮捕」求める平和デモ…「暖かい部屋からメッセージ発するひきょう者」
非常行動、大統領官邸近くで集会 「尹支持者の乱暴・罵詈雑言に立ち向かい、ペンライトをより強く振った」
「私たちの闘いは平和に! 力強く!」 2日夜、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の官邸近くにあるソウル龍山区(ヨンサング)の漢江鎮(ハンガンジン)駅前に集まった市民は、誓いを新たにした。警察の規制線の外で太極旗と星条旗を掲げる尹大統領の支持者が罵詈雑言を浴びせてきた時は、ペンライトをより強く振りながら「私たちの闘いは平和でなければならない」と叫んだ。尹錫悦即時退陣・社会大改革非常行動(非常行動)はこの日、漢江鎮駅前で「尹錫悦逮捕を求める緊急行動」集会を開催。2000人あまり(主催者側推計)の市民が参加した。 この日午後7時に開催された非常行動の集会は、舞台設置のはじまった午後3時ごろから困難に直面した。逮捕状の執行を阻止するとして朝から集まっていた尹大統領の支持者たちが、「集会を阻め」として会場に押しかけたためだ。彼らは「内乱首魁(しゅかい)尹錫悦逮捕! 拘束!」、「内乱特検で責任者処罰」などと記された非常行動のプラカードを破り、地面に投げ捨てた。この過程で2人の支持者が秩序維持にあたっていた警察官に暴行を加え、公務執行妨害の疑いでソウル龍山警察署に現行犯逮捕された。非常行動は衝突が続いていることを受け、SNSに「緊急支援要請」、「助けに来てくださった市民の方がいらっしゃったら、集会本舞台に集まって設置作業を守って下さい。内乱支持勢力との物理的衝突は避けてください」などと投稿。これを見た市民たちが集会の3時間前から駆けつけ、会場を守った。 非常行動の支援要請を見て午後4時から会場を守ったというキム・ドヨンさん(35)は、「集会が邪魔されないように力添えしなければならないと思い、すぐに駆けつけた。非常戒厳の当日に銃刀の前に立った人もいたのだから、これくらい何でもないと考えて来た」として、「きのう尹大統領が発した書簡で、さらに極右勢力が結集したようだ。自分は暖かい部屋にいて、支持者たちは寒いところでもっと苦労しろと言っているように聞こえ、むしろひきょうだと感じられた」と話した。集会開始の2時間前から舞台設置作業を手伝うために来ていたというSさん(28)も、「極右勢力が結集したのを見て無力感が少し湧いたが、むしろ私たちの方がもっと大きな声をあげなければならないと思った」と話した。 この日の集会で発言に立った民主社会のための弁護士会(民弁)のキム・サンウン弁護士は、「逮捕状の執行をめぐって尹錫悦の弁護人たちが非常にあきれた発言をしているのを黙って見過ごせず、この場に立った」とし、「尹錫悦の弁護人は、令状は刑事訴訟法110条、111条が適用されないという趣旨の内容が含まれているため無効だという主張を展開している」と述べた。刑訴法110、111条は「軍事上、職務上の秘密を要する場所の場合は、責任者の承諾なしには押収、捜索できない」と定めている。キム弁護士は「これは尹錫悦の弁護人たちの意図的な無知から生じている主張だ。同条項は公務上の秘密が含まれている物が押収される状況を想定したものだ。今のように人を逮捕する状況ではない。裁判所の令状は極めて正当なもの」だと述べた。 前日に尹大統領が支持者に送った書簡に対する批判の声もあがった。民主労総のヤン・ギョンス委員長は「尹錫悦の手紙を見て信じられず、フェイクニュースだと思った。まだ妄想から抜け出せず、官邸でユーチューブを見ながら喜々としている尹錫悦に現実を直視させるということは、彼の手に冷たい手錠をかけるということ」と述べた。 集会を終えた市民たちは、午後8時から1時間ほど、官邸に向かって行進しながら、「内乱首魁(しゅかい)尹錫悦を私たちが逮捕しよう!」、「尹錫悦は今すぐ出てこい!」などのスローガンを叫んだ。行進中、尹大統領の支持者たちが罵詈雑言を浴びせながら隊列に飛びかかって来たりもしたが、民弁の集会デモ人権侵害監視弁護団によって制止された。集会の司会を務めた軍人権センターのキム・ヒョンナム事務局長は「周りから挑発されても絶対に争うことなく、平和を維持してほしい」と叫び、市民たちは前を見ながら歩き続けた。 コ・ナリン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )