子どもカワウソが「展示デビュー」へ 海遊館からニフレルへお引っ越し 最年少25歳の飼育員が奔走『けががとにかく心配です』
■シイちゃんと初対面 迎え入れ前の試行錯誤
引っ越し3日前、海遊館を訪れた松岡さん。シイちゃんに会うのはこの日が初めてです。 【飼育スタッフ 松岡亮治さん】「どんな子かなっていうのは少しドキドキな感じはあります」 これまでシイちゃんを育ててきた宮側さんの餌やりを見学します。シイちゃんを初めて見た印象は? 【飼育スタッフ 松岡亮治さん】「ひと回り小さいなって思ったのが率直な感想でした。新しい環境でじっとしているタイプではなさそうな感じ。元気な娘とお母さんだったので、今後ニフレルでどんな感じで動いてくれるのかは期待しています」 松岡さんはシイちゃんの展示ブースについて、宮側さんに相談することにしました。カワウソはもともと好奇心が旺盛で、手先も器用な動物です。さらに子供となれば、どのような動きを取るのか飼育員たちも予測ができず、けがのリスクも高まります。 【飼育スタッフ 宮側賀美さん】「これ(スロープに)ブロック入ってる?」 【飼育スタッフ 松岡亮治さん】「ブロックです」 【飼育スタッフ 宮側賀美さん】「ブロック抜いてほしい」 【飼育スタッフ 松岡亮治さん】「分かりました」 【飼育スタッフ 宮側賀美さん】「ブロック、ここに顔突っ込んで出られなくなったら溺れるので、ブロック危険やね」 シイちゃんを迎え入れるにあたり、危険なところをできるだけなくしたいと、アドバイスを受けます。松岡さんはとにかく心配が尽きないようで…。 【飼育スタッフ 松岡亮治さん】「(引っ越し当日、シイを)展示まで出すのか、もうバックヤードで終了か、どうしよう?」 【飼育スタッフ 宮側賀美さん】「それはそっちのね、ニフレル側の問題なので、館長含め上長とお話ししてください」 【飼育スタッフ 松岡亮治さん】「分かりました」
ニフレルに戻った松岡さんは閉館後、早速準備に取りかかります。プールに置いてある台と台の間のわずかな隙間を改善します。シイちゃんがここに手を入れて、けがをする恐れがあるためです。板を入れて隙間を埋めようと採寸しますが、ここで頭を抱えてしまいました。 【飼育スタッフ 松岡亮治さん】「あそこの(台と台の隙間が)幅1.5センチだったんですね。ベニヤ板のサイズは(厚みが)1センチが多くて、0.5センチ分の隙間が空くと、板がぐらつく。固定をすると、またそれが次は突起物に変わっちゃうので、カワウソが足をつまずく可能性があるので、ビタビタにつけたほうが、一番けがするリスクが少ないんですよ」 1.5センチの隙間、一体どうするのでしょうか? 【飼育スタッフ 松岡亮治さん】「どうしようかな。あ、いつもこんな感じで考えてます、すみません。ペンキ塗りながら考えます。ちょっと時間もったいないので、すみません。板持ってきます」 迎え入れ前日も、松岡さんは作業に追われていました。シイちゃんのために1.5センチの隙間を埋めようと、この日も試行錯誤を続けています。 【飼育スタッフ 松岡亮治さん】「カバに呼ばれたので行きます。ちょっと(他に)託すことができないので、いったん中断で」 ミニカバの担当もしているため、作業を一度中断します。担当している動物たちに少しでも変化があれば、すぐに様子を見に行かなければいけません。そして、戻ってきたのは3時間後。業務の合間を縫って、作業再開です。 【飼育スタッフ 松岡亮治さん】「あとは鋭利な箇所だけ、やすりがけして隙間の板の制作はいったんおしまいです。(Q.心配は変わらず?)変わらないですね。お客さまの前に出て、しばらくしても安全というのがゴールかなと思っていますので、まずはできるところはなるべく対策できたらなと、(迎え入れの)1日前でも思っています」 閉館後、シイちゃんがブロックに頭をつっこんで溺れないよう、スロープを撤去した松岡さん。できることは何でもします。
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