石破首相、中国の軍事活動「極めて憂慮」日中首脳会談で指摘 水産物輸入再開へ合意再確認
【リマ=小沢慶太】石破茂首相は15日(日本時間16日)、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席するため訪問したペルーの首都リマで、中国の習近平国家主席と初会談した。両首脳は東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を受け中国が停止した日本産水産物の輸入再開へ、日中両政府の合意を着実に実施することを確認した。 首相は会談で、8月の中国軍機による初の日本領空侵犯など活発化する中国の軍事活動を「極めて憂慮している」と表明した。9月に中国広東省深圳で起きた日本人男児の刺殺事件にも触れ、在留邦人の安全確保を求めた。習氏は「日本人を含むすべての外国人の安全を確保する」と応じた。 日中両政府は9月、国際原子力機関(IAEA)の枠組みで、中国を含む第三国が参加できるよう処理水のモニタリング(監視)体制を強化することを前提に、日本産水産物の輸入を「着実に回復」させることで合意した。中国側は段階的な再開方針を示している。 首相は会談後、記者団に「習氏自身が(合意の着実な実施に)言及したことは非常に重い」と強調。首相は会談で早期の輸入再開を求めたが、再開時期について習氏から言及はなかったという。 また、両首脳は、日中の共通利益を拡大する「戦略的互恵関係」の包括的な推進で一致した。外相の相互訪問や高官レベルの人的交流などの実現に向けて調整を加速させることも確認した。 首相は会談冒頭、「日中両国の間には多くの懸案が存在しているが、建設的かつ安定的な関係の構築へ大きな方向性を共有している」と述べた。 中国外務省によると、習氏は会談で、日中関係について「改善、発展の重要な時期にある」と指摘。「新時代の要求に合致した建設的で安定した関係」の構築を進める考えを併せて示すなど、トランプ米次期大統領の就任を控え、日本との関係安定化に意欲を示した。