実写『ゴールデンカムイ』映画版が“これから”で終わった理由 WOWOWとのタッグで挑む完璧な映像化
野田サトルの人気漫画を山崎賢人(崎はたつさき)主演で実写化した「連続ドラマW ゴールデンカムイ ー北海道刺青囚人争奪編ー」の放送・配信が10月6日からスタート。今年1月に劇場公開された映画の続編は、なぜ全9話のドラマシリーズとなったのか。できる限り“最適な形”による映像化に挑んだという松橋真三プロデューサー(クレデウス)と植田春菜プロデューサー(WOWOW)が、その理由を明かした。 【画像】ドラマも驚異の再現度「ゴールデンカムイ」キャストたち
“おいしいところだけ”では失敗する
明治時代末期、広大な北海道を舞台に、アイヌの埋蔵金をめぐる壮絶な戦いを描く本作。北海道の豊かな自然、アイヌ文化、歴史的な要素が融合した独自の世界観のなか、一癖も二癖もある個性的なキャラクターが次々に登場する壮大なストーリーは、原作コミック全31巻分にも及ぶ。
原作の映像化をめぐっても争奪戦が繰り広げられたという本作。植田とタッグを組み、コンペティションを勝ちぬいた松橋は「原作権のコンペにあたって私たちが提案したのが、原作をいきなり一本の映画にまとめるようなことをせず、とにかく丁寧に作りたいということでした。その考えが、まず第1弾として映画があり、ドラマのファーストシーズンに続くという構成につながったんです」
アクの強い個性的なキャラクターが次々と登場する本作だが、映画は、山崎演じる日露戦争帰りの元兵士・杉元佐一の物語にフォーカス。原作コミックにおいて、冒頭ともいえる物語を丁寧に映像化するという、製作陣のこだわりが反映されている。
「映画を観た皆さんのなかには、原作でいえばまだまだ物語の序章のように感じられた方も多かったかもしれません。でも私たちは、『ゴールデンカムイ』は杉元の物語であり、彼の物語を深くしっかりと描くことが、この壮大なシリーズのはじまりにふさわしいと判断しました。観客の皆さんに、まだ(物語は)これからだけど、深い内容だったと思っていただけたのではないでしょうか。もし、原作のおいしいところだけをつまむような作り方をしていたら、それこそ、面白くない映画になってしまったと思うんです」