〈詳報〉コロナ禍後も団体旅行は不振、富裕層向け「ヴィラ中心のリゾート」へ転換 指宿いわさきホテル、休館は「数年の間」
鹿児島県指宿市の指宿いわさきホテルは27日、耐震化に伴う建て替え工事のため、2025年6月から休館すると発表した。休館期間は「数年の間」としている。運営する岩崎グループ(鹿児島市)の岩崎芳太郎社長は、現段階の構想として「ホテルではなくヴィラ中心のリゾート」と述べ、客単価を上げた富裕層向けに変える考えを示した。 【写真】〈関連〉今夏いっぱいで閉場したジャングルプール=7月5日、指宿市の指宿いわさきホテル
同ホテルによると、非正規を含めた従業員は154人。今月から従業員向けに説明を始めた。正社員の84人はグループ内で配置転換する。ホテルの大半は取り壊す。建て替えの費用などは未定。ゴルフ場や岩崎美術館といった関連する一部施設は休館後も営業を続ける。 同グループは17年以降、宿泊営業するメイン棟を除いた施設の耐震補強を検討してきたが、新型コロナウイルス禍で一時期白紙となった。岩崎社長は「コロナが明けてもホテルの集客力が戻らない」と説明。団体旅行客も減ったことを受け、メイン棟も含めた建て替えに方針を転換させた。 メイン棟は鉄筋コンクリート地上10階、地下3階。ほか和室のある8階建てや宴会場が入る3階建ての棟がある。現在は約210室で運営している。 ホテルは指宿観光ホテルとして1956(昭和31)年オープン。68年に2000人収容のレストランシアター「ジャングルパーク」、99年には「ジャングルプール」を整備し、砂蒸し温泉やスポーツ施設、飲食店を備えた一大リゾート地となった。
同グループのホテル事業を巡っては、霧島市の霧島いわさきホテルも耐震化を主な理由に2017年から休業。28年ごろの再開を目指している。
南日本新聞 | 鹿児島