順天堂大と国士舘大の「箱根駅伝5区候補」がここに!? 11.8kmで1200m上る超過酷レースをリポート
女子の部・優勝は「走る歯医者さん」
そして女子の部は、好士理恵子選手(旧姓・西原さん)が中盤でM高史を軽々と抜き去り、男子の中でも上位に入る1時間05分54秒の好タイムで優勝されました。以前、4years.でも取材させていただいた「走る歯医者さん」です。日本大学時代は歯学部の陸上部に所属しながら好記録で走っていたため、日本大学の駅伝部から誘われて関東大学女子駅伝に出場されました。歯医者さんをしながら走り続け、マラソンも2時間43分07秒の自己記録を持っていますし、毎年7月に開催されている富士登山競走でも優勝経験があります。 この大会は男子の学生招待選手でも、11.8kmでタイムが1時間を超えるようなきついコースです。平坦(へいたん)だったら1km3分を切って走る大学生の皆さんが、1km5分前後かかってしまう中、好士選手の1時間05分台というタイムは異次元でした。 レース後、好士選手は「学生時代から上りが好きでよく練習していました。今でも坂がとにかく好きでよく走っています。上りをやることによって筋力がつくので、自然とマラソンにもつながっています。直近では来月の富士登山競走山頂の部が目標です」と笑顔でお話しされました。
「山の職人」が生まれる流れも面白いですね!
6月開催の11.8kmで約1200m上る富士山須走五合目競走、11月開催の13.5kmで981m上る激坂最速王決定戦。どちらも僕自身が走ったり、学生選手や一般参加者の方のタイムを比較したりしていたところ、どちらも同じくらいのタイムになることに気がつきました。季節の違いや当日の気温、風などの気象条件、選手自身のコンディション、そもそもの走力なども含めて、もちろん誤差があり、あくまでも目安ではありますが。 同じくらいのタイムなら、今大会を54分01秒で優勝された国士舘大学の後藤天馬選手は、今年の激坂に再び挑めば、優勝争いに絡むと感じました。昨年の激坂を制した山本雷我選手の優勝タイムは54分11秒。単純な比較はできませんが、一つの目安にはなってきます。 トラックや平坦なロードでは目立たないけど、山ならば勝負できるという「上り坂自慢」「山職人」のような選手が登場するのが箱根駅伝5区の魅力でもあります。箱根本番は各校1人しか5区に挑めませんが、こうして上り坂のロードレースがあると、チャンスが広がりますし、他校の選手とも勝負できるのも貴重な機会です。 関東インカレ明けで全日本大学駅伝の地区選考会前という時期なので、チームとして出場が難しい場合もありますが、ひょっとしたら、次回以降は出場する大学も増えて、6月の富士山須走五合目競走、夏合宿を経て、11月の激坂最速王決定戦、そして箱根5区という流れで、「山の職人」のような選手が出てきても面白いなと個人的に感じました。