福田萌、在宅の夫と「まるでラグビーボールのやりとり」と話す「怒涛の三人育児」
7歳の次男に感じる心の成長
出産してすぐのある日、こんなことがあった。長女とケンカをしてしまい、自分の主張が通らずに不機嫌になった長男。私は二人を諭すように「二人とも、ママに赤ちゃんが産まれて大変なのに、頑張ってるんだよね。だから仲良くしてちょうだいね。お姉ちゃんも大変、弟くんも大変だよね。そんな思いをさせてごめんね」と、私が謝る戦法で場をおさめたことがあった。 そうしたら、私にも長女にも気づかれないように、下を向いて涙を一粒だけポロッとこぼした長男。そしてそのあとすぐ、ゴシゴシと目を拭き、泣いてないかのように振る舞っていた。私は「いつからこんな、我慢をするような泣き方をするようになったのか……」と少しショックに感じた。ちょっと前までは気に食わないことがあると、「わーん」と泣き喚いていたのに……。 きっと彼なりに乗り越えていることがあるのだろう。彼の心の成長を感じるとともに、少し寂しい気持ちになった。 長男は生後すぐの頃は「僕は怖いから赤ちゃんの抱っこはしない」と高らかに宣言し、未確認生物発見という感じで次男と接する微妙な関係だったが、しばらくするとそんな彼の口から「弟、かわいい」という言葉が出てくるようになった。生後1ヵ月半の頃だったろうか。少し時間がかかったけど、ちょっとずつ良好な関係を築いているようだ。 ある日、私が家事でバウンサーに乗せた赤ちゃんから離れていた時のこと。泣き出したので家事の手を止めたところ、突然それが泣き止んだ。 寝たのかな? と様子を見に行ったら、長男が自分のiPadを見ながらも、バウンサーを一生懸命揺らしてあやしていた。「泣くとうるさいから」と素直な気持ちを語る彼だが、彼なりにあやし方を習得していてなんだか微笑ましかった。
あっという間に1日が終わる
私はというと、あっという間に1日が終わる感覚だ。赤ちゃんは生後3ヵ月頃から、夜間まとめて寝てくれるようになり、私の睡眠時間が確保できるようになった。 それと同時に体力的にも回復を感じているが、それでも1日に予定を2つも3つも入れるのは本当に大変。でも、子供が3人もいると1週間の予定があっという間に埋まってしまう。上の二人の子の予定の合間を縫って、授乳やオムツ替えをし、さらにその隙間で家事や買い出し…、とやっているとあっという間に寝る時間になる。 幸い我が家は夫が100%在宅なので、少しの時間なら赤ちゃんを夫に託して何か用事をこなしたり、息抜きしたりすることができるけど、誰が赤ちゃんを見るかというやりとりが「まるでラグビーボールだね」と言い合っている。 上の二人の塾や習い事などの1週間のスケジュールまでは頭が管理しきれないので、最近覚えたCANVAのアプリで1週間のタイムスケジュールを作成して冷蔵庫に貼り出した。朝にその冷蔵庫のスケジュールを確認することにして、子供の1週間の予定は私の頭では覚えないことにした。猫も杓子も冷蔵庫も、私の相棒として働いてもらう。 体力的には毎日バタンキューであっという間に「もう週末? !」と、あまりの目まぐるしさに驚く日々だが、上の子たちのおかげで赤ちゃん育児中の孤独感とは無縁でいられている。また、三人目で育児にもある程度見通しが立つからこそ、精神的にはゆとりがあり、赤ちゃんが保育園に行き出したらさて私は何をしようかな? と妄想を働かせられるのも楽しい。 年齢を重ね体力こそ昔より落ちているのかもしれないが、これまで培ってきた経験が気力を補っているようで、そこまでキツいなと思うことはないのが救いだ。これまで10年間、子育てに試行錯誤を繰り返し、経験を重ねてきた自分自身にも感謝の気持ちが溢れ、自己肯定感が高まっている。 まるでこれまでの自分の手探りの子育てに丸つけをするような三人育児のはじまり。こんな気持ちになれて、私にとって三人子供を産むことは必然だったのかもしれない、という不思議な気持ちに包まれている。
福田 萌(タレント)