岸田首相が衆院解散要求を拒否、「結果出すことに専念」-党首討論
(ブルームバーグ): 岸田文雄首相は19日午後の党首討論で、立憲民主党の泉健太代表が求めた衆院の早期解散を拒否した。
党首討論の開催は約3年ぶり。泉氏は同日成立した自民党提出の改正政治資金規正法の内容は「落第点だ」と指摘した上で、「解散をして国民に信を問おうではないか」と述べた。岸田首相は「経済をはじめ、さまざまな課題に取り組んでいき、結果を出していく、これに専念をしていかなければならない。それ以外のことは考えていない」とかわした。
日本維新の会の馬場伸幸代表と国民民主党の玉木雄一郎代表は内閣総辞職を求めたが、岸田首相は「今、先送りできない課題に専念する。結果を出すことに全力を挙げる」と否定した。共産党の田村智子委員長も選択的夫婦別姓の導入を求め、岸田首相に論戦を挑んだ。
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた改正政治資金規正法は19日の参院本会議で賛成多数により可決、成立した。パーティー券購入者の公開基準額を現行の「20万円超」から「5万円超」に引き下げることなどが柱だ。維新は衆院で賛成したが、参院では他の野党と共に反対に回った。
23日に会期末を迎える今国会で首相がこのまま衆院解散に踏み切らなかった場合、政局の焦点は9月の自民党総裁選に移る。首相は総裁選への対応を明言していないが、内閣支持率が低迷したままで再選できるかは不透明だ。自民は4月の衆院3補選で不戦敗も含めて全敗したほか、静岡県知事選や東京都港区長選でも支援した候補が敗れている。
共同通信は4日、岸田首相が今国会中の衆院解散を見送る方向で最終調整に入る一方、党内では早期の内閣改造論も浮上しているとも報じている。麻生派所属の斎藤洋明衆院議員は16日、首相の政治改革への対応について「リーダーが責任を取ったということにはなってない」と公然と批判した。横浜市連会長など地方組織のトップから首相退陣を求める声も出ていると産経新聞が報じた。