最も成功する可能性が高いのは「ギバー」だが…“最も成功から遠い人”もまたギバーである〈残酷な理由〉【イェール大学経営大学院助教が解説】
イエスと言うのをやめられない、いくつかの理由
何か「よい」ことをして親や教師、教授や上司から見返りを得ているとき、私たちは褒め言葉や感謝、満点の成績がもたらすドーパミンの放出を強く欲しています。しかし、他人を満足させようとしてばかりいると、いろいろなものがつねに不足する事態に陥りかねません。時間が足りない、睡眠が足りない、お金が足りない、明晰な考えをまとめる余力がない、といったぐあいに。 ストレスや極度の疲労は、一時的にIQを低下させたり、嫌な出来事をより強く記憶するようにバイアスをかけたりして、正しい決断をする能力さえ損ないます。この影響は本人だけにとどまりません。複数の研究から、職務に忙殺されていると痛切に感じているマネジャーが率いるチームが最も業績が悪く、利益をあげられないことが実証されています。 ノーと言いづらい理由を教え子たちに検討してもらったところ、相手にどう思われるかが最大の懸念でした。しかし、イエスと言うべきでないときに、イエスと言うのをやめられない理由はほかにもあります。 なかでもとくに重要なのが、取り残されることへの恐怖(fear of missing out、FOMO)です。今だけ、あなただけのチャンスですなどと言われると、私たちはFOMOの大きな発作を起こすことがあります。そのために私は、多くの時間とお金を無駄にしてきました。そして恥ずかしながら、同じことを今後も繰り返すでしょう。 また、返報性もよくある理由です。イエスと答えて引き受けてやれば、相手に貸しができるというわけです。返報性は謂(いわ)れのない期待ではなく、じつに人間らしい駆け引きです。 そして最後の理由は、進んで人助けをしたい人が多いということです。自分にとって人生が良いものなら、誰かに手を差し伸べることでその恩恵に報いたいと考えます。また、つらい人生を歩んできた人は、同じような苦しみからほかの誰かを救ってやりたいと思うかもしれません。思いやりは立派な資質ですが、求められたときにのみ寛大さを示すのだとしたら、不公平が生じてしまいます。
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