和紙専門店はなぜ焼き芋販売を始めたのか 自ら販売する社長が「ユーチューブ」で得たヒント
長野県の松本城前に店舗、駐車場で販売
長野県松本市大手2で同名の和紙専門店を営む紙舘島勇(かみやかたしまゆう)(松本市)が、焼き芋販売に乗り出した。気軽にのれんをくぐるのが難しいと思われがちな専門店の課題を克服しようと、「食」で間口を広げて顧客層を広げる狙い。焼き芋を買った人が、島勇に立ち寄る相乗効果が生まれている。 【写真】「ほくほくで甘い」究極の焼き芋、どう作る?
使うのは宮崎県産「紅はるか」
焼き芋店の名称は「十三里(とざり)」。島勇の駐車場にプレハブ小屋を設けて昨年9月に開業した。広さは約13平方メートル。焼き芋には宮崎県産「紅はるか」を使っており、ねっとりした食感で口いっぱいに甘みが広がる。特殊なオーブンを導入し、湿度を調整しながら加熱することで甘みを引き出している。伊藤慶(けい)社長が毎朝午前7時から仕込んでいる。
「ユーチューブ」から得たヒント
1本400~500円ほど。こだわりのオリーブオイル(5グラム216円)やバルサミコ酢(同108円)を追加購入すれば、芋に付けて味の変化を楽しめる。
店の敷居を下げる方策を検討する中、コロナ禍で客が減り、伊藤社長は新たな顧客獲得を模索。動画投稿サイト「ユーチューブ」で焼き芋の動画を見つけ、おいしく調理できて手軽に買ってもらえる点に魅力を感じたという。
夏場も売れ行き落ちず、常連客も
昨年5月のプレオープンを経て本格開業。夏場は売れ行きが落ちると想定していたが、季節の変動はそれほどなく、継続的に売れている。常連客もできたという。
「新しい顧客の開拓にもつながっている」
焼き芋を購入したついでに島勇に立ち寄り、御朱印帳やお香などを買う人もいる。「新しい顧客の開拓にもつながっている」と伊藤社長。自社の焼き芋を飲食店のメニューに活用してもらうなど「他の店ともコラボしていろいろな展開をしていきたい」と考えている。