E.scene、ニュー・アルバム『All Around You』リリース レコ発ライヴも決定
新潟発オルタナティブR&Bバンド、E.sceneが、10月23日(水)にニュー・アルバム『All Around You』をリリースしています。 アルバムには先行シングル「Gift」「わたしと私」「vector」など10曲を収録。 また、レコ発ライヴを2025年2月1日(土)新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE、2月7日(金)東京・下北沢THREEにて開催します。 [メンバー コメント] 『All Around You』は生きてきて、生きていて、生きていく、自分達の「今」を紡いで大事にしてきたからこそできたアルバムになりました。 目眩く日々の中、気がつくと大切にできなくなっていたことや、いつのまにか置き去りにして忘れてしまったことも、消えてしまったわけではなくて、近すぎて当たり前になっていたことに改めて目を向けて耳を澄ませると、そこにはまた灯がともり、あの日の声や景色、気持ちを思い出させてくれて、今の自分の生活を彩ってくれると思います。そんな風に自分自身と周りの小さなことから一つ一つ確かめながら、見てきた景色、街の匂いや、生活の中で生まれた感情全てアルバム通して素直に込めました。このアルバムが誰かの「今」と交わって、生活を彩るきっかけになったら嬉しいなと思います。E.sceneの1st Album『All Around You』みなさんの耳にはどう聴こえるか楽しみです。 [つやちゃんによるアルバム紹介] ついにE.sceneのファーストアルバムが届いた。2018年に結成、2019年に音源デビューしたのちに『in the room』(2021年)、『Found me』(2022年)、『HEAT』(2022年)と立て続けにEPをリリースしてきた彼らが、いよいよフルアルバムという形でその全貌を現す。近年、国内の新世代R&B/SOULシーンが大きな盛り上がりを見せる中で、本作はその決定打となるだろう。 E.sceneの音楽のシグネチャーとなっているのは、真琴(Vo)の比類なき歌声だ。本アルバムでも、その表現力にますます磨きがかかっている。スモーキーながら艶を備えた声によって、何気ないメロディすらも時にドラマティックに、時にラグジュアリーにドレスアップされる。つまり、『All Around You』は、R&Bが「歌」の音楽であることを図らずも証明している。真琴が歌うだけで、どんな音階もR&Bへと昇華されていくからだ。 たとえば「Gift」や「Spotlight」の、J-POPに影響をうけたような旋律。「vector」で、「さよなら青く染まる未来/明日は待つほど優しくはないのね」と哀愁漂いつつ歌われる昭和歌謡ムード。どれも、真琴の歌声にかかればどこかシネマティックな劇画性を帯びてくる。歌詞や歌やサウンドが絡み合うことで、そこに人物と、風景と、香りと、肌触りが立ち上がってくるのだ――All Around You=あなたのまわりのすべてが、ありありと形を伴って。 さらに、歌声を彩り支えるような演奏の魅力も大きく深化している。E.sceneの楽曲において、リズム隊は歌を際立たせるために抑制された軽やかな音作りを基本としてきた。そのサウンドメイキングの方向性は、今作でも変わっていない。だが、加えて、より物語を紡いでいく力が備わった。中でも、「わたしと私」は現時点でのバンドの到達点だろう。「わたし」と「私」という2つの一人称を表現するかのように、メロディとは異なる軸でベース&ドラムがアナザー・ストーリーを描いていく。独自のリズム生成の巧みさによって、2つの物語が同時並行するような面白さがあるのだ。他方で、「Petrichor」に顕著なように、ボーカルと呼応する形でリズム隊が激情を描くアプローチも相変わらず冴えている。歌とは別軸で物語を紡ぐような演奏、あるいは歌そのものを補強していく演奏、両方を追求する姿勢が見事だ。 ボーカル、ベース、ドラムという最小限の構成によるE.sceneは、ミニマルなアプローチで最大限のドラマを描出する。2020年代のR&B/SOULシーンにおける、最後のピースがはまった。この音楽によって、Allあなたの Aroundまわりの Youすべてが、息を吹き込まれ動きはじめていく。 以上 TEXT BY つやちゃん