「前立腺がん」と診断される基準はご存じですか? 検査の内容やPSA値を医師が解説
前立腺がん検診でがんの目安となる数値 PSA値とは? 検診頻度は毎年受けるべき?
編集部: PSAの数値は、どれくらい高かったらがんが疑われるのでしょうか? 新井先生: 年齢によって基準値が異なります。50~64歳の場合には3.0ng/mL以下、65~69歳は3.5ng/mL以下、70歳以上は4.0ng/mL以下が基準値とされ、これを超える場合には精密検査が必要になります。 編集部: 前立腺がんの検診は何歳から受けたら良いのでしょうか? 新井先生: 一般に、前立腺がんは50歳を過ぎると罹患率が高くなることがわかっています。そのため50歳を過ぎたら、一年に一度は前立腺がん検診を受けることが推奨されています。ただし、前立腺がんは遺伝的要素もある程度関わるとされているため、親や兄弟など身内に前立腺がんの患者がいる場合には40代から定期検診を受けるようにしましょう。 編集部: 遺伝することもあるのですね。 新井先生: いわゆる遺伝疾患ではありませんが、発がんに関わる遺伝子もいくつか見つかっており、遺伝的な要素が関連することがある、とされています。もし身内に前立腺がんを発症した人がいる場合、PSAの基準値を見る際には1段階年齢を下げ、より厳しい基準で判断することをお勧めします。 編集部: PSA検査は定期的に受けた方が良いのですか? 新井先生: はい。まずは、50歳を過ぎたら一度は検診を受けるようにしましょう。その後は、PSAの数値によって測定間隔を決めると良いでしょう。 編集部: 最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあれば。 新井先生: 現在日本において、男性に発症するがんのなかで罹患率1位は前立腺がんです。高齢化の影響もあり、患者数は非常に増えています。一般的に前立腺がんは進行の緩徐な疾患ですが、進行すれば生活を制限され、QOLも低下します。また、がん性疼痛に悩まされたり、悪性疾患であるため、生命に関わったりすることもあります。そうした事態を避けるためには、できるだけ早い年代に前立腺がんの検診を受けることが必要です。早期に発見できれば適切な治療を行うことで、長期間にわたって元気な人生を歩むことができます。該当する年代の方は、ぜひ、一度検診を受けていただきたいと思います。