政権交代はほぼ確実も、連立のジレンマ再び? 解散総選挙でどの政党が政権を握っても、ドイツの未来が明るくない理由
誰もが望んだ早期解散 12月16日、ドイツ連邦議会でオラフ・ショルツ首相に対する信任投票が実施され、反対多数で否決された。これを受けて、ショルツはフランク=ヴァルター・シュタインマイヤー大統領に議会の解散を提案。任期満了を待たない2025年2月23日に総選挙が実施されることとなった。 ドイツの首相は議会を解散する権限を持たないため、ショルツは早期の解散総選挙をおこなうために否決されるとわかっていた信任投票を敢えて実施した形になる。ショルツの社会民主党(SPD)は信任票を投じたが、連立を組む緑の党は棄権。野党はすべて不信任に票を投じた。 否決されることが確実な信任投票にショルツが自ら打って出た理由は、11月に自由民主党(FDP)が連立を離脱したことで政権が少数派に転じ、政権運営が困難になっていたからだ。国防やインフラへの支出をさらに拡大しようとするSPDと緑の党に対し、財界や事業者寄りのFDPは財政規律の堅持を強硬に主張し、予算案で折り合いがつけられなかった。 連立が崩壊した以上、早期解散は誰もが望む流れだ。ショルツは、ここで改めて国民の信を問うて新たに安定した政権を築くチャンスと見ている。他方で野党は、ショルツ政権の支持率の低さから政権交代のチャンスだと張り切っている。 しかし、早期に選挙がおこなわれても、それがドイツの安定につながるかどうかはわからない。なぜなら、いずれの党も議会で安定多数を取れそうにないため、結局は妥協のもとで連立を組むことになり、自分たちの支持者の期待に応えられる見込みがないからだ。 【画像】ショルツ首相はメルケル“大連立”内閣でも要職を務めた
COURRiER Japon