<異修羅>いきなりクライマックス? 強さMAXを超えた「修羅」にふさわしい究極バトルを見届けよ!
修羅たちによる「最強」vs「最強」を描いた壮絶なバトルファンタジー「異修羅」(毎週水曜夜11:00-11:30ほか、TOKYO MXほか/ディズニープラスで見放題独占配信・YouTube・ABEMAで見逃し配信)。迫力のバトル描写はもちろんのこと、豪華キャスト陣が演じる個性溢れるキャラクターたちの信念が交錯する重厚な人間ドラマも見どころの本作。1月3日に放送された「第一話」は、弱者の代表とも言えるユノ(CV:上田麗奈)の視点から、ひとり目の「修羅」であるソウジロウ(CV:梶裕貴)との出会いが語られる「柳の剣のソウジロウ」。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】ユノ(CV:上田麗奈)の肩にもたれかかるリュセウス(CV:小市眞琴) ■開始数分で希望が絶望へと変わる衝撃展開 何者かによって魔王が倒されたあとの世界で、ユノはナガン迷宮都市の学士として平和な暮らしを堪能していた。同じ学校に通うリュセウス(CV:小市眞琴)と仲良くなったユノは、街にある大迷宮に眠る膨大な遺物にロマンを馳せ、自分たちの将来を語り合う。しかし、そんな希望に満ちた日々は、ある日あっけなく終わりを迎える。突如として大迷宮から出現したゴーレム(機魔)たちが街を蹂躙し、ナガン迷宮都市はパニック状態に。目の前でリュセウスを殺され、それをただ眺めるしかなかったユノは、絶望しながらも命からがら街を抜け出す。追っ手のゴーレムを「詞術」(この世界では一般的な「魔法」のようなもの)で倒すも、さらに多数のゴーレムに囲まれ死を覚悟したユノだったが、そこへフラッと現れたのが、なまくら刀をもった小柄な少年だった。少年は刀を振るうと、多数のゴーレムたちを一瞬でなぎ倒していく。現実離れした凄まじい剣技を誇るその少年は、異世界からこちらの世界へやってきた「客人(まろうど)」と呼ばれる存在。ユノが名前を尋ねると、その少年は柳生宗次朗と名乗り、「このオレが、地球最後の柳生だ」と不敵に笑うのだった。 平和な日常が音を立てて崩れ、絶望的な状況へと一変していく衝撃的な展開で始まった第一話。なかでも親友のリュセウスが目の前で手足をもぎ取られるシーンは映像的にもかなりショッキングで、痛快で楽しいだけの作品ではないことを早くも視聴者に示した瞬間でもあるだろう。また目の前で親友を殺され、逃げることしかできなかったユノの混乱や絶望がとても共感できるだけに、あまりに呑気なソウジロウとのギャップが際立っているのも面白い。恐怖にすくむユノとは対称的に、山ほどもある巨大なゴーレムを前にしても一切動じず、それどころか「おもしれえだろ。楽しそうだ」と笑うソウジロウ。あまりにテンションの違う、噛み合わないふたりの芝居が生み出す「違和感」や「不穏さ」は、この第一話を通じての注目ポイントとなっている。 ■災害レベルのラスボスを一蹴!? 引くほどの強さ 「行くか」と呟いた直後、信じられないほどに速いスピードで巨大ゴーレムへと向かっていくソウジロウ。立ちはだかる無数の小型ゴーレムを倒しながら、まずは巨大ゴーレムの左腕を切り裂いていく。巨大ゴーレムも「詞術」による熱攻撃で反撃するも、それを難なくかいくぐるソウジロウは、次にゴーレムの頭部を切断。さらにゴーレムの命(急所)が右腕にあることを察したソウジロウは、まず左腕を攻撃、切断した左腕を右腕にぶつけて破壊するという「無刀取り」という技を披露して勝利する。信じられない強さを見せるソウジロウの戦いに呆然とするユノだったが、彼に対する感謝や喜びの感情は生まれなかった。むしろ逆に「強者への憎しみ」が芽生えてしまったユノは、ソウジロウを殺せる強者を求め、彼に同行して「黄都」を目指すこととなった。 後半の注目はなんといってもソウジロウと巨大ゴーレムのバトルシーンだ。まず、この巨大ゴーレムの造形がとても凝っていて素晴らしい。一般的なファンタジー作品で見受けられる岩石を組み上げて作られたタイプではなく、「機魔」という当て字の通り、無数の武器を体内に仕込んだ金属製なのが特徴で、人智を超越した遺物として描かれている。無数の小型ゴーレムや飛び道具が体内から射出されたり、巨大すぎるがゆえに動きが鈍重に見えたりなど、細かい演出も光っていて、これがどれだけヤバい存在か、画面からヒシヒシと伝わってくる。こちらからすれば第一話でいきなりラスボスが登場した感覚だが、これこそ本作の醍醐味なのだと感じさせてくれる。そんな巨大ゴーレム最大の見せ場となった「詞術」シーンは、とくに迫力満点だ。胸部が大きく開いて発射口がむき出しになる機構はメカ好きにはたまらないし、同時に詠唱が始まって発射準備が整っていく緊張感もいい。超高音の青い熱戦をレーザーのように撃ち出すと、巨大な爆風とともにめくれ上がった地面が津波のように広がっていき、やがて温度が下がって赤く変色していくなど、このシーンだけでも何回も繰り返し鑑賞して楽しみたいほどだ。この巨大ゴーレムとの戦いは、3DCGならではの重量感や情報量が出色しているが、随所でケレン味のある動きを見せる手描きのソウジロウも気持ちよくハマっており、クオリティの高いハイブリッド作画が堪能できること間違いなし。 また一方で、バトル後のユノの心境変化も興味深い。親友を助けられなかった自分の非力さを恨むのではなく、その矛先を「強者」であるソウジロウに向けてしまうのだが、何もかもを失ったユノがこの世界で生きていくために出した精一杯の答えなのだと思うと、弱者なりの「意地」を感じるし、この先の彼女の成長が楽しみでもある。さらには最後にユノが想像した無数の「強者」たちの存在は本作のコンセプトそのもので、さらなる期待感を抱かせてくれた第一話となった。公式HPで確認できるキャラクターは全18人。ぜひ確認して自分の推しキャラを見つけておきたいところだ。次回の第二話は1月10日(水)放送予定。期待して待とう。 ■文/岡本大介