「開始数分で衝撃」「モザイクなしは奇跡」 考察しても楽しい「R指定」過激実写化映画
「モザイクなし」の技術にも衝撃
コンプライアンスが年々厳しくなっている昨今ですが、年齢制限を設けられるのは前提で、かなり過激な方向に振り切った映画は毎年多数作られています。これまで長年映像化されていなかった過激マンガが実写化されるなど、令和になってからもたびたび衝撃作が公開されてきました。 【画像】え…っ?「君たち中学生同士にしか見えないんだけど」 こちらが「アウト?」な過激シーンが多い実写映画です(8枚) 2024年11月29日に公開されたばかりの『雨の中の慾情』は、デビュー70周年を迎えたつげ義春先生が1981年に絵コンテのまま発表した同題の短編を起点に、つげ先生のその他の短編『夏の思い出』『隣の女』『池袋百点会』の要素も取り入れ、さらに衝撃的なオリジナル展開も交えたR15+指定の怪作です。 冒頭から主人公の漫画家「義男(演:成田凌)」が、雷雨のなか雨宿りで逃げ込んだバス停で、居合わせた女性(演:中西柚貴)に「金物を着けていると危ない」と言って服を脱がせ、田んぼのなかで行為に及ぶという衝撃的な場面が描かれますが、それは義男が見た夢でした。その後、知人の「伊守(演:森田剛)」と未亡人「福子(演:中村映里子)」との独特な三角関係が描かれ、さらにとても現実の風景とは思えない奇妙な描写、設定が次々登場します。 義男がいる世界はいったい何なのか、という種明かし以降にさらなる衝撃があり、また中村さんほかキャスト陣の身体を張った幻想的な濡れ場の場面にも驚かされました。「前半の奇妙なシーンの伏線回収もありつつつじつまが合わない部分も面白く考えてしまう」「虚実妄想が入り混じる凄まじい映画で体感では今年最大級の衝撃」と、公開後さっそく絶賛が相次いでいます。 また、浅野いにお先生の『うみべの女の子』は、中学生同士のベッドシーンがある作品ですが、2021年にまさかのR15+実写映画化(R15+指定)されました。 海辺の町で暮らす中学生「小梅」は失恋のショックで、自分のことが好きな男子「磯辺」と関係を持つようになります。話の発端が性描写であるため、原作に忠実な過激描写の数々がしっかり描かれました。次第に磯部への思いを募らせていく小梅と、一方で心が離れていく磯部のすれ違っていくふたりの姿も生々しく描かれています。 浅野先生も参加したオーディションにより、それぞれ石川瑠華さん(撮影当時22歳)と青木柚さん(当時19歳)の若手演技派のふたりが選ばれ、生々しい描写だけでなく、それぞれ抱える心の闇や思春期ならではの不安定な心理描写も、丁寧に表現されています。「石川さん22歳とは思えないあどけなさだけど、大人が演じいているからこそ中学生→高校生への変化も凄く上手かった」「主演ふたりともそもそも浅野作品っぽい顔だし、思春期の性への関心、自分の気持ちに素直になれくて相手を傷つけてしまう幼さの表現がすごい」と絶賛されています。 そのほか、水田ゆき先生の代表作『性の劇薬』は過激な描写が多く、2020年の映画化が発表された際に衝撃を呼びました。監督はピンク映画のジャンルで長いキャリアを積み、後にマンガの実写化で『ビリーバーズ』『セフレの品格』2部作なども手掛けた城定秀夫さんです。 人生につまづき飛び降り自殺しようとしたエリートサラリーマン「桂木(演:渡邊将)」が謎の男「余田(演:北代高士)」に助けられ、その後監禁されます。そして、「生きてることを実感させてやるよ」と桂木を徹底的に「調教する」衝撃描写が続きました。 内容が内容だけに当然「R18+」での公開となりましたが、行為の激しさはしっかりと描かれつつも、ベテランの城定監督の手腕が見事で、各シーンの肝心な部分はアングルや小道具による工夫で隠し、モザイクは使われていません。「『したたり』とか『息遣い』とか実写化したことによる良さが多分にある映画だった」「ラストがすごく良かったなぁ。愛と生を感じるベッドシーン」と高い評価を受けました。
マグミクス編集部