【裁判の行方は?】“紀州のドン・ファン”殺害事件裁判 審理はついに核心部分へ 食い違う主張と争点「遺産目当て隠してない」「覚醒剤購入依頼された」元妻の新証言に矛盾を突く検察
■主張の食い違い①新証言『覚醒剤買ってきて』と依頼…捜査段階では「買ってない」
野崎さんの死因となる『覚醒剤』について、結婚から2か月後の2018年4月、須藤被告が「覚醒剤 死亡」と検索し、田辺市内で実際に“密売人”と接触していたことが明らかになっています。 須藤被告は法廷で、野崎さんが性行為を何度か試みるも失敗していたタイミングで「社長から『もうダメだから、覚せい剤を買ってきてくれませんか?』と頼まれた」と発言。 購入費用として20万円受け取り、自分の口座に入金したと説明しました。 須藤被告によれば、野崎さんの依頼をしばらく“放置”していたものの、野崎さんに催促され「え?マジなの?」と思い『薬物 裏掲示板』と検索し、『裏2ちゃんねる』に載っていた番号に電話。 その後、密売人から覚醒剤を直接購入し、野崎さんに渡したものの「あれは使い物にならん。偽物や。もうお前には頼まん」と言われたと語りました。 一方、11日の検察側の被告人質問で、警察の捜査段階の取り調べでは、覚醒剤について「(私は)買っていないし(野崎さんが)関わっているとも思わなかった」と答えていたことが明かされました。 この点について、検察側が「(当初から覚醒剤を)買って渡したと言えばよかったのではないか?」と聞くと、須藤被告は「警察にそう言ったところで、信じてもらえると思わなかった。怖くて言えなかった」と答えました。
■主張の食い違い②アプリ履歴で2階に8回…検察側の新証拠提示に被告も「確かに多い」
裁判の序盤から検察側の証拠として注目されているのが、須藤被告のスマートフォンのヘルスケアアプリに記録されたデータです。 このデータによると、須藤被告が事件当日の犯行推定時刻に少なくとも8回、野崎さんが亡くなっていた2階に上がっていることがわかっています。 須藤被告は弁護側の被告人質問で、「1回目から5回目に関しては野崎さんに目薬をさしに行ったり、日用品を取りに上がったりした記憶がある」と話し、6回目から8回目に関しては「日常的なことだったので記憶がありません」と話しました。 8回も2階に上がることを“日常的なこと”だとする須藤被告に対して、検察側は新たに、事件以前の約1か月間、日々の1階と2階との往来回数がどれくらいかだったかを法廷で提示。ほとんどの日は“3回以下”で、3回を超えた日は4月20日と21日のみだと指摘したのです。 検察側が「5月24日が8回というのは不自然ではないか?」と尋ねると、須藤被告も「5、6回の昇降もある」とこれらの日付を引き合いに出しました。 ここで検察は、さらに新たな証拠を提示します。 実はこの4月20日と21日は、須藤被告が自動車学校に通った日で、自動車学校で階段の昇り降りが各日ごとに3回あり、この回数を差し引くと、“両日とも自宅では3回を超えていなかったはずだ”と指摘したのです。 改めて検察側が「事件の日だけ8回というのは不自然ではないか? 」と問いただすと、須藤被告は沈黙ののち「確かに多いなって思いました」と口にしました。