【新NISAプロの助言】成長投資枠では“配当利回りだけ”注目してはダメ 「無理して配当してないか」 山口貴大
2024年1月からスタートした新NISA(少額投資非課税制度)は、プロは実際にどのように活用しているのだろうか。『【新NISA完全攻略】月5万円から始める「リアルすぎる」1億円の作り方』(KADOKAWA)の著者で、金融・起業スクール「Financial Free College」代表の山口貴大さん(SNSではライオン兄さんとして活躍中)に、新NISAの戦略を聞いた。 【写真】上空から見ると「円」の形だった日本銀行の建物はこちら 「新NISAで投資をスタートしたという人も多いでしょう。日経平均株価が大きく下落した4月下旬頃、『〝損切り〟をした人が続出した』とSNSなどで話題になりました。損切りとは、投資家が損失を抱えている株式などを売却して損失を確定させることをいいます」 約10年に1度、リーマンショックやコロナショックのような景気後退による株価暴落が起こると言われている。投資信託でも30%程度、基準価額が下落する時が来るかもしれない。このような時に売却する人が損をする人だという。 ■リスク許容度はどれくらいか 「成長投資枠で個別株に投資しようと考えている人も同じで、ご自身のリスク許容度はどれくらいなのか、これから投資をするのであれば、判断材料のひとつにしたほうがいいでしょう」 今、世界を見渡すと地政学リスクやインフレリスクを抱えているが、「長期、分散、つみたて」の三原則から判断すると、「米国株価指数S&P500に連動するインデックスファンド」は投資初心者にもおすすめで、実際に山口さんも年間120万円の枠を使い「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」に投資をしているという。
「S&P500は米国株を代表する株価指数で、世界の投資家が運用の指針(ベンチマーク)にしています。米国の主要産業を代表する500社で構成され、米国株式市場の時価総額の約80%をカバーしています。採用銘柄はニューヨーク証券取引所やナスダック市場に上場している米国企業のみで、各採用企業の時価総額は145億ドル以上、さらに採用時の業績が四半期連続で黒字、四半期に一度、銘柄の入れ替えが行われるといった高いハードルを設けています」 つまり、激しい競争の中で勝ち抜いてきた企業で構成されているといっても過言ではない。過去30年間、何度も暴落や金融危機にも見舞われたのにもかかわらず、「S&P500」の年平均リターンは約10%と言われている。S&P500に連動するインデックスファンドで長期につみたて投資をすると、インフレリスクにも対応しながら資産を増やせることもできる。なお、S&P500のインフレ調整後のリターンは約7%程度という実績も知っておくと良いでしょう。 ■計8資産に分散投資 「投資をする人の年代によっても投資信託の選び方を変える必要があります。50代以降はあまりハイリスクハイリターンの投資信託はお勧めできませんので、値動きの異なる8つの資産に均等に投資する投資信託『eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)』も検討してみては。この投資信託1本持っていれば、日本および世界の株式、公社債またはREIT(不動産投資信託)の計8資産に分散投資していることになります。また、新NISAのすべてに財産を投入するのではなく、現金、債券、現物資産などアセットクラスの分散は大事です」