「臭いものに蓋をしただけ」政治資金規正法や所得税法違反の時効は5年…「10年前の領収書」の価値
時効で逃げ切れる「10年後」に公開…「国民を馬鹿にしていますよね」
一方、焦点の一つとなった政党から議員個人に渡される「政策活動費」は、使いみちを公表する義務がなかったため「ブラックボックス」とも呼ばれてきた。 自民党の場合、政策活動費は幹事長が受け取り、議員らに配る。二階俊博元幹事長は在任中の5年間に、約50億円を受け取ったとされる。 今回の改正により、政策活動費に関しては、支給を受けた議員が項目ごとに使った金額と年月を党に報告し、党が収支報告書に記載。10年後に領収書などを公開するとしている。 「政治資金規正法違反の時効は5年です。10年後に不記載や虚偽記入が明らかになっても罪に問えません。税金に関しては、裏金のような悪質な脱税の場合、7年分遡って徴収できます。しかし7年で時効のため、10年経つと罰することはできない。 10年前の領収書には、何の価値もありません。それに、領収書が黒塗りで公開される可能性も考えられます。 つまり、議員が時効で逃げ切れる、まったく罪に問われない公開時期にしたということですよ。裏金のどさくさに紛れて、制度の改悪まで行ったと言わざるを得ません」 何の根拠もなく領収書の10年後公開を改正法に盛り込んだことに、SNSでは「ふざけるな」と怒りの声が上がっている。 「『公開』という言葉を入れて、今まで隠されてきたものが公になるという幻想を国民に抱かせようとしたんじゃないですか。馬鹿にしていますよね」 ◆「国民はもっと怒りをエスカレートさせないといけないと思います」 改正法には政治資金の透明性を確保するためとして、政策活動費などを監査する第三者機関の設置も盛り込まれたが、監査のあり方については決まっていない。 「一応、政治資金監査制度というものがあり、弁護士か税理士、公認会計士が監査を担当できることになっています。ただし、後援会や親戚の税理士が監査人になっている場合もあるようです。 収入と支出が適切かどうかを調べるのが監査人の役割です。それなりの責任も生じます。ところが、政治資金の監査人は単に収支が帳面についているか見て、ハンコを押すだけ。監査の役割を果たしていません。 だから、第三者機関を設置すると言ったって、どれほどの効果があるのか。はなはだ疑問です」