「怪獣8号」は現代風の変身ヒーロー イマドキTV+
ウルトラマンやマグマ大使が巨大怪獣と戦うたびに街が壊滅していたけれど、復旧のことなんて考えたことはなかった。ナントカ光線で飛び散った怪獣の死体を誰がどうやって処理するのか、なんてことも。 テレビアニメ「怪獣8号」(テレビ東京系)はプロローグの戦闘場面を受け、退治された怪獣の死体を前に主人公が愚痴るシーンから始まった。「派手にぶちまけやがって。こりゃしばらく残業だな」 主人公の日比野カフカは怪獣専門の清掃業者。あまり注目されないけれど、しっかりと世の中を支えているエッセンシャルワーカーだ。いやぁ、SFながら設定が現代風。 彼は怪獣を討伐する防衛隊の試験に落ち続けて夢を諦めた。かつて「一緒に怪獣を全滅させよう」と誓った幼なじみの亜白ミナは、最強部隊の隊長を務めている。立場の差を嚙みしめるカフカだったが、怪獣に寄生されて「怪獣8号」となってしまったから、さあ大変です。 物語は、年齢制限の緩和によって防衛隊へ入隊を果たしたカフカが、自身の正体を隠しつつ、訓練に取り組む日々を描く。怪獣だけど悪者ではないというトリッキーさや主人公の抱く劣等感が香ばしい。清掃業者として得た知識が討伐に役立つとか、細かい演出も良い味わい。 自分の意思で怪獣になったり人間に戻ったりできるあたり、いわゆる「変身ヒーロー」の正統派。悪の秘密組織に改造された初代・仮面ライダーを連想させ、最近でいうと「鬼滅の刃」で鬼になりながら人間の味方にとどまる禰󠄀豆子とか、特級呪物の指を食べて「呪いの王」を宿してしまう「呪術廻戦」の虎杖(いたどり)とも共通点を感じる。王道ですな。 第1シーズンは、きょう29日午後11時から放送予定の12話で完結。未見の方は各ネット配信でどうぞ。早くも第2シーズンが待ち遠しい。というか先を知りた過ぎて原作漫画を買ってしまいそう。「鬼滅の刃」も「呪術廻戦」もそうだったけど、アニメがきっかけで漫画を買うパターンがすっかり定着している。(ライター 篠原知存)
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