58歳のマイク・タイソンが19年5カ月ぶりの公式戦でユーチューバーのジェーク・ポールに0-3判定で完敗 〝塩試合〟にブーイングも
プロボクシングのヘビー級8回戦が15日(日本時間16日)、米テキサス州アーリントンのAT&Tスタジアムで行われた。1980年代後半に圧倒的な強さを誇った元WBA、WBC、IBF世界同級統一王者のマイク・タイソン(58)が、ユーチューバー兼プロボクサーのジェーク・ポール(27)=ともに米国=に0-3の8回判定負け。約19年5カ月ぶりの公式戦を白星で飾ることはできなかった。 2005年6月の試合を最後に実質引退となっていたタイソンが、公式戦のリングに戻ってきたが、全盛期の動きには程遠く、完敗を喫した。 「彼が優れた選手であることは知っていた。彼が準備ができていることは分かっていたが、俺は闘うために来た」 試合は通常の1ラウンド3分ではなく、安全面を考慮して2分で行われた。グローブも通常の10オンスではなく14オンスの大きなものを使用。それでもテキサス州のコミッションは公式戦と認定した。8万人収容のスタジアムはほぼ満員。俳優やアスリートら多くの有名人もリングサイドに駆け付けた。入場から大歓声を浴びたタイソンは1回から頭を振って前に出たが、手数を出すことができず、パワーも感じなかった。ポールは距離をとってうまくアウトボクシングし、ポイントを稼いだ。ともに見せ場の少ない試合で、大観衆からはブーイングも飛んだ。ジャッジは80-72、79-73、79-73でポールを支持した。 ユーチューブのチャンネル登録者数約2080万人で、20年1月にプロデビューしたポールは「彼と闘うことができて本当に光栄。彼は明らかに地球上で最もタフで最も凶悪な男。予想通り本当に大変だった」とタイソンをたたえた。そして「彼に傷つけられるのが怖かったけど、俺は彼を傷つけようとしていた。俺はベストを尽くした」と満足げに語った。 前日の計量ではフェースオフ時に挑発的な動きをしてきたポールに足を踏まれ、ポールの顔に右手で強烈な平手打ち。1997年6月のイベンダー・ホリフィールド(米国)戦での耳噛みによる反則負けや、暴行事件などを起こして何度も逮捕されるなどリング内外での〝悪童〟ぶりは健在だったが老いにはあらがえず、リングで輝きを見せることはできなかった。 2020年11月には米カリフォルニア州で元世界4階級制覇王者のロイ・ジョーンズ氏(米国)とエキシビションマッチを実施。この試合は当初、7月に行われる予定だったが、タイソンの体調不良で延期となった。