最下位オリックスに引き分けたキューバは本当に侍Jの脅威ではないのか
では、投手陣はどうだろう。当初、日本との開幕戦での先発が有力視されていた国内リーグの最多勝&最高防御率のブランコが、この日、先発、4回を投げて4安打1失点とまとめてみせた。ただ、70球を投げたので中3日で1次ラウンドの日本戦には出てこないだろう。唯一の失点は、4回一死一塁からT-岡田、小谷野に連打を許して満塁とされ、伊藤光にセンターへの犠牲フライを打たれたもの。ストレートの最速は、139キロ。長身から、ややサイドハンドで、外の変化球の出し入れが特徴の軟投派。カーブは118キロで、チェンジアップも操り上手さはあるが、縦に鋭く落とすボールはない。 伊藤は「腕を下げたりしてボールの出所を変えてきていた。緩い球でストレートを速くみせようというタイプ。同じカーブでもスピード差がある。両サイドを揺さぶってくる」という印象を抱いた。 それでも「外に逃げる変化球だけに対策をしておけばタイミングさえあえば対応できる」という。 5回から登板した2番手のガルシアはブランコと対照的な剛球派。駿太、吉田正は、四球で歩かせたが、伏見を三振に仕留めたボールは150キロを表示した。しかし、ボールは上下にぶれコントロールの精度はない。 オリックスは、6回に、Tー岡田がヒットで出塁すると、代走・小田が盗塁に成功した。モーションは大きかった。バントで送り、伊藤が、この日、2打点目となるタイムリーをセンター前へ返したが、この打席は全球ストレート。「彼はパワーピッチャー。まっすぐに威力はあった。クイックはボークっぽい。でもテンポは速かった。そこで変化をつけてくるのでタイミングをしっかり取るのが注意点だと思う」と伊藤。 キューバは、その後、ストレートが130キロ台のJ・マルティネス、身長175でキレのあるボールで勝負してきた左腕のモイネロ、193の長身のラエラと、タイプの違う3投手を交互に繰り出してきた。 伊藤は、キューバの投手の全般の共通点として「投げながら(捕手の)サインを見ているというくらいにテンポが速い」という部分をチェック。「そこでタイミングが遅れなければ大丈夫」と攻略の糸口を口にした。 本来のエース、アルバレスが右肘の故障で離脱、1次リーグのローテーションは、この日、先発したブランコと、2番手のガルシア、そしてバノスの3人で回すことになるという。マルティ監督は、この日の会見で「まだ先発も打線も含めて決めきれていない」と、煙に巻いたが、おそらく開幕戦の先発は、この日、隠したバノス、或いは、2番手で46球を投げたガルシアが有力だろう。 マルティ監督は、「日本は総合的に欠陥のないチーム。私たちにとって難しい試合になる」と、本音とも謙遜とも取れるコメントを発した。いずれにしろキューバとは一次ラウンドだけでなく二次ラウンドでも再度戦う可能性が高い。オリックスが見せてくれた攻略法を無駄にするわけにはいかない。