48時間以内で映画製作! そして世界へ! 第4回「Fukuoka 48 Hour Film Project」ラップパーティーが開催
2024年で4回目の開催となる「Fukuoka 48 Hour Film Project」のラップパーティーが12月14日福岡市博多区にて行われた。このイベントは、48時間で映画を製作し完成する世界各都市で行われているユニークなプロジェクト。キックオフイベントで全チームに共通のお題と、それぞれ異なるジャンルをくじで引き各チームは48時間以内に作品を完成させる。 私自身、今回で3度目の審査員を務めた。会場には参加者たちの喜びや悔しさが入り交じり、その熱気を肌で感じることができた。この映画賞にはいくつかの部門賞があるが、今回は世界大会Filmapalooza、そしてカンヌ国際映画祭上映へつながる「作品賞」に絞って紹介。今年の上位作品はどれもレベルが高く、甲乙つけがたい内容だった。
心に残った gorilla in a bottleの「たーぼんとグレープ」
福岡県田川市のシャッター商店街を舞台に、実際にストリートアートを描きながら物語を紡ぐこの作品が印象に残った。絵を描く青年と、それを応援する女性が主人公で、故郷に残る者と去っていく者の淡い恋と成長の物語。主人公が描いた絵と赤い伊田坑跡の映像が特に心を打った。シャッターに描かれた絵がそのまま残っているとのことで、ぜひ現地に足を運びたい。
「Fukuoka 48 Hour Film Project 2024 作品賞」
第3位:我利我利プロ「クリスマスのとなりで」 居酒屋夫婦のクリスマスを描いた温かい作品。福岡タワーの大きな景色と、居酒屋のカウンターの親密な小さな雰囲気が丁寧に描かれていた。特に「猫舌」という共通のお題をセリフやリアクション以外で巧みに表現したシーンにはうならされた。オチに導くトリックの部分がやや強引だったものの、全体として完成度が高い作品だった。現在YouTubeで公開中。 第2位:ODA&Fz「最後のワガママ」 世界大会経験者で常に上位にランクインしているチームが難度の高い「パニック映画」というジャンルに挑戦した。地球最後の日をテーマに、ストーリー、映像美、俳優陣の演技、どれも非の打ちどころがなかった。小田憲和監督は若い女性を描くのがうまいなあ。若手人気女優が上京前に福岡にて小田作品に出演していることも多く、今回のヒロインの今後も楽しみ。前回につづき1位を逃し悔しさをにじませていた姿に会場からもため息がもれていた。 小田監督の2025年全国公開映画「LIBERTY DANCE」にも期待が高まる。前回の本チーム48映画祭作品のヒロインでミスヤンマガに選ばれた松田実桜さんが主演。 第1位:ArigaTo「捨てる。disposable life」 東京から参加した黒瀬敦子監督の作品が1位に輝いた。映像会社の管理職となり、めっきり現場に立てなくなったので、その反動で思い切って製作したとのこと。棺おけや骨つぼ、古民家といった日本的なモチーフを用い、「おくりびと」をほうふつとさせる「死ぬ」ということを見事に描いていた。今回はご縁を頂いたと福岡の街も楽しんでいた黒瀬監督。福岡大会の代表として、ぜひ米シアトルにて開催される世界大会Filmapaloozaでの健闘を期待したい。 学生作品 福岡市の映(ば)えスポット奈多断層での緊張感ある映像が印象的だったチーム青春カマキリ野郎の「あいきょう」。個性的な美術で独自の世界観を描いたチームエビキャベツの「オールマイラヴ」。現代のシチュエーションでありながら、不思議な言語を使い1万年前に誘うようなチームオールアバウトM「仲良し」など、学生たちの挑戦的な作品も心に残った。 このリポートを読んで「自分も挑戦してみたい」と思った方は、ぜひ今年の年末に福岡で会いましょう。
ひとシネマ総合プロデューサー 宮脇祐介