正ガードとして戦い抜いた宮崎早織が抱いていた思い…「星と一緒に戦いたかったし、頑張りたかった」
無念の戦線離脱となった後輩を思って戦った3試合
ハンガリー戦の反省を踏まえて「最初からパワー全開で、思い切り攻めるということは決めていたので、それがいい方向に向かってくれて良かったと思います」と、カナダ戦を振り返った宮崎。ハンガリー戦で外した3ポイントシュートについては、「距離もよかったから入ったかなと思ったのですが、結構大きくて外れてしまいました。でも、この大舞台であのシュートを打てたということは自信につなげたいし、それを次はパリオリンピックで決め切りたい、そんな選手になりたいなと思います」と、前を向いた。 その宮崎が大会中に抱いていた思いとは… 「星(杏璃)と一緒に出たかったし、一緒に頑張りたいと思っていました。一番悔しいのは彼女だから、その思いはすごい強かったですね」 そう語った宮崎の目からは一度引いたはずの涙が一気にあふれ出た。 星は、OQTに向けて活動をしてきた日本代表候補メンバーの一人で、大会直前の欧州遠征にも参加していた。だが、その欧州遠征で左膝前十字靭帯断裂を負いチームを離れることとに。宮崎とはENEOSでもチームメート。そんな後輩への思いは強かった。また、大会ではその星からも連絡が来たという。 『ユラさんのスピードは誰にも止められない。それは私が自信持って言えること』 その言葉に燃えないわけがない。「つらいはずなのに連絡をくれたことがうれしかったし、そんな後輩を持てたことが幸せだと思います」 苦楽をともにしてきた先輩と後輩。宮崎は仲間の思いを背負い、そして覚悟を持って臨んだ大会で、見事オリンピックの出場権をつかみ取った。 文=田島早苗
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