料理研究家・コウケンテツが沖縄で見つけた「アグー豚」の魅力。お祝いのご馳走「チイリチャー」とは?
◆チイリチャーとは 明さんの妻・ミツエさんが、アグー豚を使った「チイリチャー」を作ってくださいました。 ミツエさんはこの機会に、孫の聖佳さんに我那覇家のチイリチャーのレシピを伝えたいとも考えていました。大阪の調理専門学校に通っている聖佳さんですが、チイリチャーを作るのは初めて。聖佳さんの母親のこずえさんも見守っています。 祖父の明さんも見ているなかで、まず聖佳さんが手にしたのは、この朝採れた袋一杯のアグー豚の血と血の塊。血で炒めるからチイリチャーなのです。 チイリチャーはお祝いのご馳走です。家族が集まるお正月に食べることが多いそうですが、特別に夏野菜で調理してくださいました。
◆命を尊ぶ料理 「風味付けは絶対、泡盛よ」 「あぁ、血の塊は細かくしすぎないで」 「味噌はどれくらい入れる?」 調理をめぐり、祖母、母、孫の丁丁発止を見守っていたコウさん。いよいよいただきます。 「いろんな顔の部分と野菜、そしてなんといっても血ですね。最高に調和が取れてます。口のなかが楽しい。コリッとした軟骨の部分と身の部分、プリッとした骨の部分があって、血も美味しい。臭みも全くなくて、感動!」 「大切な豚の命をいただくので、顔も内臓も血も全部食べる。これが豚に対する感謝の気持ち。無駄なく食べるのが一番じゃないかなと思うんですよ」と明さん。 「学校ではこんな郷土料理まで勉強できないので、ばあちゃんに聞いて地元の味を勉強できるいい機会だと思っています」と孫の聖佳さん。 目の前で祖母から孫にチイリチャーのレシピが引き継がれていく現場をみて、コウさんは感慨を深くしました。 ※本稿は、『コウケンテツの日本100年ゴハン紀行2』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
NHK「コウケンテツの日本100年ゴハン紀行」制作班
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