映画『ウッジョブ』は林業を救うか
■林業の意義しっかり、地元も盛り上がり こうした林業の「やりがい」を映画はきちんと描く。チェーンソーで木を切り倒したときの満足感や、高い木の上から見る自然の美しさ…。美しいといえば、主人公が思いを寄せる村の小学校の教師、直紀役に長澤まさみが扮している。「主人公が勤める会社の社長の親類で、林業をよく分かっているという役。林業家って普通の会社員と生活のパターンがぜんぜん違うんです。雨が降ったら休みだとか、帰りが遅かったり早かったりとか。そんな仕事を理解してくれるのが長澤まさみだったら、そりゃいいですよね…」と苦笑いする田實さん。現在は「一人親方」として若手を率いるとともに、都会の人たちを招いて林業の現場や森づくりを学んでもらう地域活動にも励んでいる。 「林業の入り口に興味は持ってもらえても、どっぷりと田舎に浸ったり、溶け込んだりしてもらうことまでは難しい。映画では似たようなエピソードが出てきて、これがまた『よくぞ言ってくれた』と叫びたくなる。受け入れる側も変わらなきゃいけない面があるので、都会の若い人たちはもちろん、地元のじいさんとかにも観てもらいたいと思いました」。周囲でも何人ものプロが映画館に足を運んで「泣いた」「よかった」と報告してきているという。映画のロケ地として全面協力した三重県は、公開に合わせて東京・日本橋で「WOOD JOB!の原作・ロケ地は三重なんです!展」を16日まで開いた。10、11日の土日は林業就業や三重への移住に関する相談会も設け、「2人」が相談に訪れたという。 「1人は大学生、もう1人は森林ボランティア経験のある若い女性で、どちらも今すぐというわけではないが、移住も含めて真剣に考えたいと言ってくれました。こちらとしては2人でもよくぞ来てくれたという気持ち。林業の現場を深く知ってもらえる機会は少ないので、この映画の公開は本当にありがたい」と県の担当者。地元では「ロケ地マップ」が配られたり「記念館」も造られたりする盛り上がり。「林業ルネッサンスだ」との声まで上がるという。となると真のライバルは『テルマエ・ロマエ2』か…。いずれにしても健闘を祈りたい。 (関口威人/Newzdrive)