あれ? 石破総理の足が長い? “内閣集合写真レタッチ問題”をAIエンジニアと内閣広報室に聞いてみた
「日本の代表としてこれはどうなの?」「全体的にだらしなく感じる」 SNS上で落胆の声が相次いだのは、10月1日に発足した石破内閣の記念撮影の場面。新たな閣僚の顔が並ぶ、歴史の1コマとなる象徴的な一瞬だが、その姿が『あまりにも残念だった』と感じた人が多くいる。 【映像】こ、これは…内閣集合写真の“ビフォアアフター”に衝撃 特に注目を集めたのは石破総理の「お腹」。 映像を確認してみると、ベストの隙間からシャツが見えている。また、隣の中谷防衛大臣も同様だ。 この姿を見て「だらし内閣」「みっとも内閣」と名付ける人も現れた。しかし、総理官邸のウェブサイトで公開された写真を見てみると、映像で見えていたシャツが確認できない。どういうことなのか?
真相が気になった『ABEMAヒルズ』はAIエンジニアの安野貴博氏に解析を依頼した。 【安野貴博氏の見解】「ほぼ同じ画角の写真を二つ重ねて検証してみたが、明らかに首相官邸の写真は、石破総理のウエストの高さやズボンの長さが違う。画像のメタデータにもPhotoshopが利用された形跡があるので、編集ソフトを使ってお腹が見えないようにレタッチをしている可能性が高い」 一方で安野氏は「この程度の修正であれば問題はない」と理解を示す。 「見栄えをよくする方法として、いい洋服を選んだり、化粧をするのと同様、レタッチするのも問題ない」 さらに『ABEMAヒルズ』が内閣広報室に問い合わせたところ、以下の回答を得た。 「組閣の写真にかかわらず、官邸の公式行事の写真に関して軽微な修正は行っています。今回の組閣の写真も同じように修正を行いました。記念写真は長く残るものですので、ふさわしい形での修正を致しました」
この“内閣集合写真・加工問題”に対し、「レタッチした・してないの話ではない。レタッチすら許さないくらい完璧に着てくれ」と声を上げたのは『ABEMAヒルズ』のオシャレ番長ことノンフィクションライターの石戸諭氏だ。 石戸氏は「礼服の着こなしがなってない」と指摘する。 石戸氏によると、そもそも就任式における“正装”は日本独自のもので国際的にもユニークなもの。曲線的にカットされたモーニングコートにシャツとネクタイ、ベストとグレーのパンツを合わせるスタイルはモーニングと呼ばれる昼間(日中)の礼装だ。撮影したような夜における正礼装であれば燕尾服(ホワイトタイ)が一般的とされるが“慣例”で現状の形になっていると推察される。 石戸氏は「細かく言えばタイやシャツの種類などが違っている日本式ドレスコードまではまだいい。多くの人が残念だと感じてしまったポイントは、ジャケットもパンツもサイズが合っていないことにある」と力説する。 「大前提として、体に合わせて採寸すべきだ。加えて石破総理はウェストコート(ベスト)をきちんと着こなしてほしい。紳士服の歴史を辿ると、中に着用するいわゆるYシャツ=肌着というのがルーツであり、『肌着を見せない』というのがオーソドックスな考え方。モーニングは礼装の歴史を踏まえているため、ジャケットの隙間からシャツが見えてしまうと一般的なスーツよりもはるかに“だらしなさ”を感じさせてしまう。政治家たるものいつ晴れ舞台に立つか分からないため、用意をしておいてほしかった」 ダメ出しが止まらない石戸氏だが、「斉藤鉄夫大臣の着こなしは、パンツの裾と靴のバランスが整っている」と評価。 最後に石戸氏は「礼装はルールに忠実にちゃんと着た方がいい。変に着崩そうとか、アレンジしようなどと考えてはいけない。ルールの通りに着れば美しいが、逆にだからこそ丈が合っていなかったり、シャツが見えていたりすると余計に残念に見える」と述べた。 (『ABEMAヒルズ』より)