2年半ぶりに全線運行を再開、歴史伝える南アルプスあぷとライン
全線復旧に2年半もの年月がかかったことについて大井川鐵道は「当初、土砂は200立法メートルとみられたが、二次災害も想定されたことから慎重に作業を進めなければならず、復旧までに2年半の期間を要した」と説明している。全線復旧を受けて3月18日には南アルプスあぷとライン周辺地域誘客協議会による開通式典や記念イベントが千頭駅や井川で催され、伝統芸能なども披露されてお祝いムードに包まれた。 SLが走る観光鉄道に大きく変貌してきた大井川鐵道の本線。一方、井川線は中部電力が所有する鉄道資産を当時の姿そのままに継承しつつ、実態としては、その乗客はほぼ観光客で占められ、大井川鐵道によると折り返し運転以前は年間11万人もの観光客が井川線を訪れていたという。 「日本一の鉄道橋や秘境駅ランキングに常に顔を出す尾盛駅、恋人たちの聖地として人気が高まっている奥大井湖上駅など見どころ満載の井川線は、大井川鐵道本線にとってもきわめて重要な鉄道なのです」と大井川鐵道は井川線の存在意義を強調する。一方、運営を委託している中部電力も「井川線は地域の観光資源になっていると考えている」との認識を示している。