明石家さんまの「東大生イジり」は“時代遅れ”? 現役東大生の見解は
良くも悪くも求められる「東大らしさ」
学歴をつけて損はないように思えますが、一概にそうとも言い切れません。 池田渓氏による『東大なんて入らなきゃよかった 誰も教えてくれなかった不都合な話』(飛鳥新社)には、東大に合格したはいいものの、うまく社会になじめず、高学歴が足かせになってしまった人々の後悔の声が載せられています。 ある程度以上の学歴をもって、「東大生らしくない進路」を取ると、「東大を卒業したのに、どうしてこんなところにいるの?」と必要以上に周囲の注目をひいてしまいかねない。 「東大卒」の肩書が欲しい人は数多くいるでしょうが、考えている以上にこの肩書は己の進路と考え方を縛ってきます。 「一流商社」「外資金融」「官僚」あたりを中心とする超有名企業に入社して、高学歴集団の中で生きないと、浮いてしまうのです。それも、「東大」のもつイメージが招いたことでした。
東大に興味を持つ人が増えてくれたらそれでいい
ですが、『さんまの東大方程式』などから東大生いじりの流れが始まったことで、今ではある種の親しみを持って受け入れられる場面も増えてきたように思います。 もちろん、現実と乖離した見せ方であることは否めませんが、それでも「血の通っていない能力主義の機械人形」のように思われるよりは随分とマシです。 また、高校生に進路選択を説く身としては、ここから東大に対して興味を抱いてくれる子どもが増えると、よりよいとも思います。 従来の「頭がいい人が行くところ」というお堅いイメージを払拭して、「ユニークな大学」と上書きされれば、学力に自信がない学生でも目指すきっかけになるかもしれません。 今後も東大のイメージが、より開かれたものになることを祈っています。 ―[貧困東大生・布施川天馬]― 【布施川天馬】 1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)
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