熊野灘深海から古細菌新グループ 極めてまれ、進化過程の解明期待
紀伊半島沖の熊野灘、水深約2500メートルの深海で採取した泥の中から、細胞内に核を持たない微生物「古細菌」の全く新しいグループを発見したと、海洋研究開発機構(神奈川県)などのチームが微生物学の国際専門誌に発表した。生物の分類階級で最も上位の「界」に相当するグループだという。 海洋機構の井町寛之上席研究員は「界レベルで新たな古細菌が見つかるのは極めて珍しい」と説明。核がある真核生物特有だと考えられていた遺伝子も多く見つかり「進化の過程を探れるかもしれない」と話している。 チームは2006年、有人潜水調査船「しんかい6500」で泥を採取。未知の古細菌が見つかり、12年間かけて分離、培養に成功した。 直径約550ナノメートル(ナノは10億分の1)の球状の部分から細長い触手のような突起を伸ばす。生存に酸素は不要で、他の微生物と共生しながらアミノ酸を食べている。 形態の特徴やゲノム(全遺伝情報)から、これまで知られている古細菌の三つの界とは全く異なるグループだと判明した。