日本では「治療の手立てがない」 小児がん再発の少女が挑んだ"治療の壁"と家族の願い
広く支援を呼びかけ
ちひろちゃんにとって、唯一の希望となったイタリアでの治療。 しかし、渡航や滞在にかかる費用なども含めて6000万円以上かかることが分かり、両親は悩んだ末、広く支援を呼びかけることを決めました。 「本来なら、自分たちで支払うべきだと思う。多くの人に迷惑をかけて、資金を集めなきゃいけないのは、親として情けない」(祐香子さん) 去年のクリスマスには、クラウドファンディングなどを通じて、目標を大幅に上回る8800万円が集まりました。 「すごい泣いちゃいました。顔も見えない、会ったこともないちひろに対して、親身になって一緒に助けようじゃないけど、そういう風に言っていただけたのは、本当に温かいなって。本当にうれしかったです」(祐香子さん)
治療のため2回目のイタリアへ
今年2月、羽田空港には、ちひろちゃんと家族の姿がありました。 治療のためイタリアへ向かうのは、これで2回目です。 「早く病気を治したい」(ちひろちゃん) 「いよいよ、自分たちが望んだ治療に挑むことができて、すごくうれしい気持ち。『やってよかった』と思える未来が来るように、私は娘のサポートしかできないけど、ベストを尽くしたい」(祐香子さん) また父・将さんは、日本に残って仕事を続けます。 「何よりも、元気に帰ってきてくれることだけ。希望を持っています」(ちひろちゃんの父・久保田将さん)
日本人として初めての治療
ちひろちゃんが治療を受ける、ローマの小児病院。 ここで、日本人として初めて「CAR-T細胞療法」を受けます。 約1カ月前に体内から採取された細胞が、がんを攻撃するよう作り変えられて、投与されます。 「日本では、まだ治療をできないから。同じ病気の子でも、ちひろより、もっとつらい思いをしているから。早く病気を治して、日本でもできるようにしたい」(ちひろちゃん)
副作用のつらさはピークに…
投与開始から、5日目。 イタリアを訪れたのは、名大病院で主治医を務めてきた高橋義行さんです。 高熱が続き、頭やお腹の痛みに苦しむちひろちゃんに、効果が出ている証だと伝えて励まします。 しかし、このころ副作用のつらさは、ピークに達していました。