早期改憲を否定の自民に維新、国民民主が反発 岸田首相の「責任」問う声相次ぐ
衆院憲法審査会が6日、開かれた。政治資金規正法改正など法案成立を優先させたい自民党の浜田靖一国対委員長が早期の憲法改正に否定的な見解を示したことについて、改憲勢力の日本維新の会や国民民主党からは今年秋までの自民総裁任期中の改憲を目標に掲げる岸田文雄首相の「責任」を問う声が相次いだ。総裁再選を目指す首相としては改憲で「実績」を残したいところだが、道のりは平坦(へいたん)ではなさそうだ。 【時系列で見る】政治資金規正法改正を巡る経過 「自民の方針はバラバラではないか」。国民民主の玉木雄一郎氏は衆院憲法審で浜田氏の見解などに触れた上で、与党筆頭幹事を務める中谷元氏(自民)にこう詰め寄った。「憲法改正原案の国会提出にすら至らないのであれば総裁としての責任を問われる。(改憲の)発議なんて夢のまた夢だ」とも畳みかけた。 維新の小野泰輔氏も「公党の代表としての総裁の言葉はめちゃくちゃ重い。(目標断念ならば)首相は責任を取らなければいけない。それくらいのものだ」と強調した。 「ハト派といわれる私こそ、実現しやすい」。政調会長として自民の改憲4項目策定に奔走した首相は憲法改正に意欲を示してきた。目標達成が困難視されていた最近も周囲に「憲法を少しでも前進させたい」などと漏らしている。周辺は「保守層を一本化していくには憲法改正と安定的な皇位継承の実現が重要だ」と首相の思いを代弁する。一方、自民幹部は「衆院解散は難しい雰囲気だ。憲法で何らかの爪痕を残し、秋の総裁選で支持を得たいのではないか」と語る。 もっとも爪痕を残すことは簡単ではない。会期末が23日に迫る中、自民は将来に望みをつなぐため、今国会に条文化を伴う改憲案を提出することなどを検討している。 しかし、改憲に後ろ向きな立憲民主党の斎藤嘉隆参院国対委員長は6日、自民の石井準一参院国対委員長と会談し、自民が改憲案の条文化作業を強行する場合、参院側では規正法改正案を含め全ての法案審議に応じられないと伝えた。自民は参院で単独過半数に達しておらず、法案審議を人質に取られた形の参院自民が国会提出を拒む可能性がある。 一方、23日以降も条文化作業などを進める余地を残そうと、中谷氏は6日の衆院憲法審で「憲法審は閉会中も審査が可能だ」と言及した。ただ、昨年の臨時国会で維新と国民民主が自民に要求した閉会中審査は実現せず、空手形に終わる不安は拭えていない。(内藤慎二)