現在は50m6秒0 遠投115m…“身体能力お化け”中日・育成1位の中村奈一輝 子供時代の陸上県記録は未だ破られず
◇新時代の旗手2025~育成1位・中村奈一輝 宮崎市の繁華街にある居酒屋「紀助」。中村の両親が営む店ののれんをくぐったすぐ先の床に、言われなければ見逃してしまうようなテープが貼られている。白色は7年近く過ぎた今では、床板と区別できないほどに変色した。「そこから、お店の向こうの壁までがちょうど4メートル80なんですよ」。カウンター越しに父・重人さん(64)はうれしそうに笑みを浮かべる。 ◆中日ルーキートリオ、緊張のラジオ生出演【写真複数】 2018年3月に宮崎で行われた県内の小学生が参加した陸上大会。西池小5年生だった中村が走り幅跳びで記録したのが「4メートル80」だった。2位に80センチ近い差をつけた断トツの優勝。15年秋の同小3年時に出した100メートルの14秒50とともに、今も破られていない学年別の宮崎県記録。身体能力の高さは幼い頃から折り紙付きだった。 自宅から車で10分ほどにあるサンビーチ一ツ葉が小さい頃の遊び場。砂浜ではくつを履かず、はだしで走り回った。独り歩きを始めた時からできるだけビーチサンダルやげたを履いて過ごし、指先で地面をつかんで走る感覚を養った。 陸上を始めたのは「小戸第二レッドソックス」でソフトボールを始めたのと同じ小学3年時。陸上と他競技を掛け持ちしている友達はほとんどいなかった。中学進学時には、もちろん陸上関係者から誘いも受けた。「陸上をやっていたら足も自然と速くなる。あくまで野球のため。自分の意見は変わらなかった」ときっぱり断りを入れた。 父は宮崎・都城工で春高バレーの前身となる全国大会に出場し、母の美紀さん(56)も社会人のクラブチームまで競技を続けたバレーボール一家。それでも幼い頃にいとこが白球を追いかける姿を球場で見て野球にあこがれ、育成指名でプロの門をたたく。「自分の持ち味は守備範囲。肩、走力を生かして一日でも早く支配下に上がれるように頑張っていきたい」。50メートル6秒0、遠投115メートルの“身体能力お化け”がバンテリンドームナゴヤでのデビューを目指す。
中日スポーツ