FNS歌謡祭出演で話題、北海道のアイドル「タイトル未定」が全国区で“見つかる”まで
彼女たちの飛躍が“快挙”たるゆえん
タイトル未定が産声を上げたのは、新型コロナがエンタメ界を直撃していた2020年4月。大型アイドルフェスも軒並み中止になるなか、ひたむきに札幌でのライブ活動を続けてきた。翌2021年に初のアルバム『青春群像』を手売り限定で発売し、これが同年のアイドル楽曲大賞アルバム部門で1位を獲得。着実に楽曲の良さが浸透していき、2020年代の「楽曲派アイドル」として認知されていく。 その後、全国のアイドルフェスにも進出するとともに、地元・札幌での活動も増加。ラジオで冠番組を持つほか、Jリーグのコンサドーレ札幌のクラブパートナーとして、試合前のライブやクラブの遠征に合わせたアウェイツアーも開催するなど活躍は多岐にわたる。 TIFへの出場をかけた選考では北海道の企業がSNSでこぞってタイトル未定を応援するなど、日頃から地元で愛される存在であることも見て取れる。 一時の“ロコドルブーム”も落ち着き、地方のグループにとって不利的状況にあった昨今のアイドル界において、彼女たちのブレイクは快挙に近い。 音楽はサブスクサービスで聴くのが当たり前の時代、K-POPのガールズグループの台頭も続く。そしてとりわけ今年は、TikTokをはじめ各種SNSでバズったグループが覇権を握る情勢が続いている。 短い動画でいかに可愛く、踊りやすいキャッチーな楽曲でブレイクを狙えるか。これは、ライブでの熱量を売りにしてきたグループにとっては不利なトレンドであるともいえる。 そんな数々の“不利”を跳ね返して、『FNS歌謡祭』出演により、地方にもこれだけの実力とアイドル性を持ったグループがいることを知らしめたことは、非メジャーのグループアイドルにもまだまだポテンシャルがあることを示しているだろう。 12月1日からは新メンバーとして多田萌加と山下彩耶が加わり、5人体制になったばかりのタイトル未定。必要以上に流行りにおもねらず、しかし着実に成長して、全国区の存在になろうとしている、今最注目のグループだ。
大宮高史