「管理職になるなら辞めます」という部下に、マネージャーがやらせてみるべき“体験”とは
「管理職ができるかも」と思わせるには
興味を持ってもらえれば、あと一歩です。冒頭であったように「管理職に自分は向いていない」という感情をいかに突破するかです。 「向いていない」と感じるのは、専門的な用語で言えば「自己効力感」がないということです。「自己効力感」は「できそうな気がする」(I think I can)ということです。 当たり前ですが、人は「できそうな気がすれば」やろうと思いますし、そうでなければやりません。管理職をやったことがない一般社員に、なぜか「できそうな気がする」と思わせるためには何をすればよいか。 それは、管理職にする前に、ミニ管理職経験をさせて成功体験を積ませることです。
後輩をつけて一緒に仕事をさせてみるだけでよい
管理職とは部下に仕事を振ることで、個人ではできない大きなことをチームで行う役割です。 そう考えれば、別に課長とか店長とか役職がついていなくとも、管理職的な仕事は結構多くの人が知らず知らずのうちにやっています。 管理職につけたい一般社員がいれば、まず彼・彼女に1人だけ後輩をつけてあげて、2人の「チーム」で何かをする仕事をアサインしてみてください。 2人でも立派なチームです。先輩である一般社員は後輩と仕事を分担しなければなりませんし、後輩の進捗を管理し、危なければサポートしなければなりません。 そして、それは意識していようといまいと、もう既に「管理職」の仕事です。
もう「管理職の仕事」が既にできていることに気づいてもらう
もちろん最初はうまくいかないかもしれませんが、その場合は管理職のあなたが支援しながら成功へと導きます。 そして晴れてうまくチームでの仕事が成功した暁に、振り返りを行なって「もう既に人をマネジメントして仕事をすることができている」ことに気づかせてあげるのです。 経験は経験するだけではなく、振り返って意味付けすることで自覚され成長につながりますので、ここまでやらねば意味がありません。 そして、「そうか、自分は人をマネジメントすることができるのか」「なんだ、マネジメントなんてこれくらいのことなのか」「あれ、意外と人と一緒に仕事をするって面白いな」などを思ってもらえれば御の字です。 きっと彼・彼女は「管理職になりたい」と思ってくれるようになるのではないでしょうか。 グラフィックファシリテーター®やまざきゆにこ=イラスト・監修 曽和利光さんとリクルート時代の同期。組織のモヤモヤを描き続けて、ありたい未来を絵筆で支援した数は400超。 曽和利光=文
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