「管理職になるなら辞めます」という部下に、マネージャーがやらせてみるべき“体験”とは
何にモチベーションを抱くのかを知る
働くモチベーションにはいろいろなものがありますが、大きく分けると次の4つ、「組織型」「仕事型」「職場型」「生活型」です。この4つのうちどれがいちばん「効く」のかは人によって違います。 「組織型」とは「どこでするか」でモチベートされるもので、組織のブランドや社会的影響力などが重要です。「仕事型」とは「なにをするか」で、仕事自体の面白さや仕事を通じて得られる能力、自分が仕事を通じて相手にできる貢献などが重要です。 「職場型」は「だれとするか」で、上司や同僚との相性、文化や風土とのフィットなどが重要です。「生活型」は「なにをえるか」で、報酬が上がったり、時間のゆとりができたりするなど、仕事によって何を得ることができるのかが重要です。 まずは部下がどんなモチベーションの型なのかを観察してみてください。
ちがう「型」の動機づけをしてもスベる
もし「組織型」なら、その仕事がどれだけ栄誉なことでありリスペクトを得るのか、組織にとってどれだけ重要かを伝える。「仕事型」なら、その仕事に知的好奇心が湧くような意味づけをし、これをすることでどんな人になれるのかを伝える。 「職場型」なら、ひとまず仕事はさておいて、職場の同僚と相互理解を進めて、愛着や一体感が湧くようにサポートしてみる。「生活型」なら、その仕事をすることでどれだけ市場価値や報酬が上がるのかとか、生活に余裕ができるのかを伝えてみる。 多くの場合、これがズレているのだと思います。「組織型」の人に「面白いぞ」とか、「仕事型」の人に「えらくなるとすごいんだぞ」とか言っても「それがどうした」とスベるのがオチでしょう。
仕事が面白ければ、組織のために働こうと思う
まず目の前の仕事にモチベーションを抱くことができれば、状況は変わります。 仕事に対するモチベーションが上がれば、その仕事をさせてくれている組織や上司、同僚に対するコミットメントが上がります。この組織コミットメントが上がれば、組織市民行動と言って「役割外だが、組織のために貢献できるボランタリーな行動」をしようという意欲がわくことがわかっています。 組織市民行動を取ろうと思うようになれば、管理職のような組織やチーム全体のために半ば奉仕するような側面のある仕事にも、興味を持ってくれるようになるかもしれません。 このようにまずは「目の前の仕事」、次に「組織への貢献」という順番が大事です。