佐野氏の五輪エンブレム使用中止を発表「今や国民に受け入れられない」
東京五輪組織委員会は1日、アートディレクターの佐野研二郎氏がデザインした公式エンブレムの使用を中止すると発表した。 【中継アーカイブ】東京五輪エンブレム問題で組織委員会が会見 同日、武藤敏郎事務総長が会見し、佐野氏から「デザインは模倣ではない」との説明を改めて受けた上で、「今や国民から受け入れられない。むしろ五輪に悪影響を与えてしまう」として、エンブレムを取り下げたいとの申し出があったと説明した。
組織委としては、28日の原案公表の会見までは、取り下げる意向はなかったが、先週末のエンブレムの展開例の写真での無断転用や、ドイツのタイポグラファーの展示会で原案に似た作品があったとの指摘を受け、「まったく新たな事態を迎えた」と判断。きょう、佐野氏や審査委員長の永井氏らと話し合った結果、佐野氏の意向を受けて、エンブレムの撤回を決めた。 佐野氏は、タイポグラファーの展示会自体は見に行ったという。ただ「ポスターがどんなものだったか記憶にない。デザインは独自に作った」と説明している。話し合いの場でも「模倣であるから取り下げる、ということは納得できない」と強く語っていたという。 記者からは「佐野さんありきの選考だったのでは?」との質問が出たが、武藤事務総長は「それは全くないと思う」と即答。今回の混乱の責任については、組織委に責任がないと言うわけではないとしながら、「いろんな形で専門家が関与して責任分担して決めるということ。誰か一人が決めるということではない。分解してどこかの誰かに責任を、という議論はできないし、すべきではない」と述べた。
新エンブレムも公募で選考
今後、ただちに新しいエンブレムの選考に入る。具体的な方法はまだ未定だが、基本的には公募を前提として、より開かれた選考過程を検討しているという。そして「できるだけ早く新エンブレムを決定したい。東京大会を象徴するエンブレムとして広く国民に愛されるエンブレムをつくっていきたい」と語った。 佐野氏をめぐっては、ベルギーの劇場ロゴのデザイナーが差し止め訴訟を提訴したほか、大会エンブレムの展示例として示した羽田空港などの写真が無断転用だったことやサントリービールのキャンペーン賞品のデザインの一部に盗用があったことが指摘され、流用を認めている。