“命の価値”は時代によって変わるのか?現代のペットの飼育について考えさせられる『ねこおばあさんぼく』【書評】
カメントツ先生自身はこの状況を前にして感情的にならず「現代に即した情報を知らないだけなのだ」と判断し、真摯におばあさんと向き合うことになる。 このやり取りを見て、「もし自分がカメントツ先生の立場で今回のおばあさんのような人と関わる機会になった際、どう考えて対応すればいいのだろうか」「今後自分自身がペットを飼うようになり身体の融通が利かなくなり飼育が困難になった時どうしたらいいか」と考えさせられた。
その後はカメントツ先生が彼女の猫を引き取り、友人として交流していく過程で、戦中という時代を生きてきた彼女と命の価値観の違いがあることを知る。世代間での異なる価値観のすり合わせはなかなか難しいことだろう。 そして我々読者の価値観もまた、未来の常識と合わなくなっていくことも十分にあり得る。本作は動物の保護に関するリテラシーを学ぶと共に、現代の価値観をアップデートしていく為に一読しておきたい1冊である。 文=ネゴト/ 花