JJにビールの炭酸割り!? 昭和世代が驚く“酒離れ”していないZ世代の楽しみ方
「ビールの炭酸割り」 ……好みの度数に調整できればビールが苦手でもおいしい
“飲み口の軽さ”という点でいうと、Z世代の間で人気の意外なお酒の飲み方がもう一つあります。それがビールの炭酸割り。家庭で楽しめる商品としては、2023年にサントリーから発売されたビール飲料『ビアボール』がそれに当たります。 「ビアボールは、アルコール度数16%のビールなんですが、そのまま飲むのではなく炭酸水などで割って飲むのが特徴。割ることで好みの度数に調整できるのはもちろん、炭酸が入ることで一般的なビールが苦手な方でも飲みやすい、軽やかな味わいになります」 サントリー「ビアボール」334ml 実売価格625円(税込) ビールをトマトジュースで割る「レッドアイ』」や、ジンジャーエールで割った『シャンディーガフ」など、これまでもビアカクテルは存在していましたが、何が違うのでしょうか? 「少し乱暴な言い方になってしまうかもしれませんが、それらのビアカクテルは、いわばビールに割材の“味を足す”お酒です。それに対しビアボールは、炭酸水で割って“味を薄める”のが特徴。Z世代は甘すぎたり、渋すぎたりといった味が強いものよりも、やさしい味を好む人が多い傾向にあります。味が濃すぎずすっと飲めて、それでいてビールらしい苦味も感じられるので一度飲むとクセになるでしょう。軽やかでどんな料理にもマッチする点でも人気です」
「コーヒーカクテル」 ……深夜カフェでのおしゃべりタイムのおとも
さらに中山さんは、エスプレッソやコーヒーリキュールにウォッカなどを加えた『エスプレッソ・マティーニ』を筆頭に、「コーヒーカクテル」がZ世代の間でじわじわ盛り上がってきていると言います。 「これまではバーで提供されるカクテルでしたが、近年は夜遅くまでやっているカフェや喫茶店などで取り扱われることが増え、情報感度の高い人の間で少しずつ知名度を上げています。またカフェバーなどは、深夜に友人とおしゃべりをするオシャレな場所として若者に重宝されているので、目にする機会も増えているのでしょう」 「コーヒーは苦手でもカフェラテは好きという人も多いので、カフェラテの延長線上の飲み物として取り入れやすく、また、カクテルグラスに入っていたり、お店独自の盛り付けで出てきたりするので、コーヒーやカフェラテよりもSNS映えする点も人気の理由です」 「コーヒーカクテルのトレンドの中心はまだ飲食店にあり、家庭用の商品はまだ少ないですが、それでも今年いくつか発売されています。ハイボールやジンソーダのようなメジャーRTDにはならなくとも、ひとつのジャンルとして確立する可能性は十分にあると予想しています」 お酒を飲まない世代と言われてはいても、飲むときは飲むときで自分らしいお酒の楽しみ方を見つけているZ世代。今後も彼らならではの新しい飲み方を生み出し、それがやがてスーパーやコンビニの店頭へと波及していく可能性は十分にあるといえるでしょう。今後も新たなトレンドの種に注目です。
Profile
フードアナリスト / 中山秀明 フードアナリスト・ライター。なかでもビールに関する執筆が多く、大手メーカー、マイクロブリュワリー、ブリューパブ、クラフトビアレストランなど、小売り、外食問わず全国各地へ取材に赴いている。
GetNavi web編集部