「もう劇団はいいや」と飛び出した…「焼肉ドラゴン」の67歳・劇作家が再び劇団を旗揚げした理由
9月5日から公演「旅芸人の記録」
劇作家で演出家の鄭義信(67)の新作が、9月5日から東京・下北沢のザ・スズナリで始まる。劇団「ヒトハダ」の第2回公演「旅芸人の記録」だ。これまで、舞台「焼肉ドラゴン」(2008年)では日韓で賞を総なめにし、映画「パラサイト 半地下の家族」の日本での舞台化では台本・演出を担当するなど、演劇界をけん引してきた鄭。改めて、舞台への思いを聞いた。(全2回の第2回) 【写真】「美脚」「おしゃれ」…舞台「パラサイト」の現場が騒然となった古田新太の靴下。鄭義信の貴重なプライベートショットも ***
――今回の公演の劇場は下北沢にあるザ・スズナリとなります。 僕はアングラ出身ですが、小劇場の人たちにとって、スズナリは演劇の“聖地”と言える。そのザ・スズナリで、久しぶりに公演できることに 、原点に 返ったような嬉しさがあります。今回21ステージもやるので、大勢の人に見てもらいたいですね。 ――「パラサイト」の会場は、東京・新宿のTHEATER MILANO-Zaでした。大劇場と小劇場で何か違いはありますか。 やっていることはお芝居なので、大きな違いはないと思います。基本的には、どんな劇場であれ、面白いと思っているものを信じてやっていくという気持ちは変わりません。 ――「焼肉ドラゴン」や「パラサイト」のように、今回の公演も“家族”がテーマの一つです。 “家族”は共同体の最小の単位で、国が違っても全世界共通で、理解されるテーマだと思っています。 ――鄭さんにとって、家族と はどういうものでしょうか。 僕は在日韓国人ということもあって、家族関係が濃密だった気がします。 ――それは作品を作る上で、何か影響を受けたことはありますか。 家族というよりも、やっぱり自分がマイノリティであるということで、その視線から(脚本を)書いていることが多いですね。 ――コロナ禍の影響もあったかと思いますが、改めて舞台への思いや何か感じたことはありましたか。 目の前にお客さんがいることが本当に大切だと実感しました。舞台って、お客さんがいて初めて成立するものだとしみじみ感じましたね。コロナの時はリモートや無観客での公演もやりましたが、手ごたえがなくて、誰に向かって芝居しているのか分からない感じでした。